大阪市長選で当選した松井一郎氏(左)と大阪府知事選で当選した吉村洋文氏(右)(写真:アフロ)
大阪市長選で当選した松井一郎氏(左)と大阪府知事選で当選した吉村洋文氏(右)(写真:アフロ)

 4月7日に投開票が行われた統一地方選。その結果を報じるメディアの一部には「維新圧勝」の文字が躍った。だがその実情を一言でまとめればこうなるだろう。大阪維新の会は確かに「勝った」。だが、「勝ち切れなかった」。その勝敗を読む鍵を握るのは、またしてもあの男だった。

 まず結果を振り返ろう。「大阪都構想」が最大の焦点となった府知事と大阪市長のダブル選挙を地域政党・大阪維新の会が制し、都構想の議論が再び動き出すこととなった。特に府知事選は市長からくら替えした吉村洋文氏が、自民党の推薦を受けた対立候補に100万票余りの差をつけた大勝を収める結果となった。

 維新は府議会・大阪市議会でも大きく勢力を伸ばした。府議選(定数88)では、告示前の40議席から51議席に躍進し、単独過半数を確保。市議選(定数83)では単独過半数は果たせなかったが、告示前の34議席から40議席と、第1党を維持した。特に府議会の議席が過半数に届かなかった前回選と比べれば圧勝と言える結果だ。

 特に31ある1人区では、83%に当たる26区で自民などの対立候補を破った。2015年は1人区での獲得議席は19だったことと比べても躍進ぶりがうかがえる。日本経済新聞などが7日に行った出口調査では、両氏は自民支持層や公明支持層などからも幅広く票を得たという。他政党の支持層を含めた有権者から支持を得られたことが勝因だろう。

 一部報道では維新と自民や共産などの“反維新勢力”の接戦も予想されていた選挙戦だったが、蓋を開けてみれば維新は強かった。

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