LIXILグループの潮田洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)に昨秋、事実上解任された瀬戸欣哉・前CEOが反撃を開始した。瀬戸氏は6月の定時株主総会に向けて、自らを含む8人を取締役に選任するよう求める株主提案をすると発表。4月5日午後に都内で個人の立場で記者会見を開き、「正しいことをしなければいけない。この会社の経営は僭越(せんえつ)ながら俺がやるべきだと思った。難しいことだがやれるという自信もある」と述べた。瀬戸氏解任の経緯が不透明だとして、大株主から解任要求を突き付けられている潮田氏への逆風が一段と強まりそうだ。

自らを含む8人を取締役に選任するよう求めた瀬戸氏(写真:的野 弘路)

 取締役候補者として社内取締役4人、社外取締役4人を提案する。社内取締役候補者は瀬戸氏のほかLIXILグループの中核を占める旧INAX創業家出身の伊奈啓一郎氏、元INAX社長の川本隆一氏ら、昨秋の取締役会で瀬戸氏のCEO解任に反対したメンバーが名を連ねた。社外取締役には三井住友トラストクラブ会長やアクサ生命保険会長を務めた西浦裕二氏、前最高裁判所判事の鬼丸かおる氏らを候補者としてそろえた。株主提案者となるのは瀬戸氏と伊奈氏だ。

 瀬戸氏は「昨年10月に潮田さんから『指名委員会の総意(のちの第三者調査報告書で指名委員会の総意はなかったとされた)だからやめてくれ』と突然言われたのは、人生においてショックを受けた瞬間だった。だが最後まで納得できず昨秋の取締役会では(自身の解任に)反対した。そして正しいことは何かと考えて、今回の判断に至った。この8名は今回の課題、懸念を共有して一緒に立ち上がった仲間。8人全員が1つのチームとして選ばれたい。11月以降、多くの従業員からなぜ辞めてしまったのかと責められたことで、辞めるべきではなかったのではないか、という後悔もおきた」と述べた。

 会見に同席した川本取締役は「瀬戸氏にはCEOに復帰してもらいたい。経営の能力、事業の才覚に優れている。経営者として最も重要な高いモラルも備えている」と述べた。

 通常、株主提案は会社提案に不満を持つ株主が対抗策として繰り出すことが多い。そもそも会社側の取締役候補者案がまだ出ていないタイミングでの株主提案は異例だ。

 なぜこのタイミングで株主提案に踏み切ったのか。

 会社側は例年、3月の取締役会で6月の定時株主総会に向けた取締役人事案を決議する。だが、今年はその取締役会の直前に、英マラソン・アセット・マネジメントら大株主がガバナンスに問題があるとして潮田氏と山梨広一COO(最高執行責任者)の解任を求め、臨時株主総会を招集するよう請求。会社側は取締役候補者の選定どころではなくなった。

元INAX社長の川本氏(左)らと会見した瀬戸氏(左から2人目)

 一方、株主提案は株主総会の8週間前までにする必要がある。仮に会社側が4月下旬までに取締役候補者を決められないと、その後に会社が挙げた候補者に瀬戸氏らの名前がなかった場合、時間切れで株主提案ができずに手が打てなくなる可能性があった。そのリスクを排除するため、今回は異例の株主側が先手を打つという形になった。

 現在も取締役ではあるものの3月末をもって「社長」の肩書が外れた瀬戸氏。これまでは現社長として動くことのリスクもあり行動を控えてきたが、反撃に打って出た。それだけ瀬戸氏の腹の底にたまった怒りは大きいということだろう。

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