
ホンダ、川崎重工業、スズキ、ヤマハ発動機の二輪車4社は2019年4月4日、電動バイクの交換式バッテリーに関するコンソーシアムを設立すると発表した。日本国内でバッテリーの仕様や交換システムの標準化を目指す。世界でみると約5割のシェアを握る日本の二輪車メーカーだが、最大市場のアジアで急速に押し寄せる電動化で遅れをとれば、これまで品質や燃費性能で築いてきた牙城が崩されかねないとの危機感がライバル同士の連携につながった。
「電動化してしまうと我々の優位性が脅かされる」。ホンダの二輪事業企画部の三原大樹部長は危機感を口にする。エンジンを搭載した二輪車でアジア市場を開拓し、世界で半分のシェアを握るようになった日本の二輪車メーカーだが、そのアジアでは電動化の波が押し寄せている。
例えば、台湾の電動スクーターメーカーのGogoro(ゴゴロ)。電動バイクはバッテリーの搭載スペースが限られ、航続距離が短くなるのが課題だ。その弱点を逆手にとり、街中の拠点でバッテリーを「シェアリング」するモデルを確立。電動バイクの利用者は定額料金を払い、各地に整備された充電ステーションで充電済みのバッテリーと交換できる。ゴゴロは2011年の新興メーカーながら、新しいビジネスモデルを武器に日本にも進出、欧州でも事業を拡大している。
日本勢が作るコンソーシアムでは、原付二種までの小型二輪車を対象にバッテリーの仕様共通化を目指す。バッテリーの大きさや車体に接続する端子の共通化によって、ゴゴロのようなバッテリーシェアリングを4社のどの電動バイクでも共通にできるようにするというのが当面の目標になるとみられる。
今回の連携はあくまで日本国内でのもの。「海外では個社の戦略がある」(ホンダの三原氏)。とはいえ、顧客ニーズにあったバッテリー交換の仕組みを作れなければ、日本勢が二輪車で押し寄せる電動化の波に乗ることは難しいだろう。
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