
日産自動車は8日、東京都内で臨時株主総会を開き、カルロス・ゴーン元会長とグレッグ・ケリー氏の取締役解任と仏ルノー会長のジャンドミニク・スナール氏の取締役選任を決めた。しかし、本格的に「ゴーン後」の経営体制が固まるのは6月の定時株主総会まで待たねばならない。指名委員会等設置会社として、社外取締役が取締役会議長を務めるようになるまで、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が取締役会のトップを務める「暫定経営体制」が認められたとはいえ、ゴーン元会長の「暴走」を許した経営責任を問う株主からの厳しい声も出た。
「現経営陣が総退陣で責任を取るべきではないのか」「株価が低迷している。株主からの訴訟リスクをどう受け止めているのか」。2時間57分に及んだ臨時総会では、西川社長以下、現経営陣に対する厳しい声が飛んだ。「過去に起こったことの責任は重く受け止めている。ただ、今と将来の日産に対する責務もある」。西川社長はこう繰り返した。今と将来の日産に対する責務とは主に3つ。日産の事業、コーポレートガバナンス(企業統治)、ルノーとの関係だ。
このうち、ルノーとの関係ではゴーン元会長が実権を握った組織を改め、三菱自動車を含めた3社は提携戦略を協議する新たな組織「アライアンス・オペレーティング・ボード」を設立し、実務を動かしていくことになる。
株価は900円台に沈む
ガバナンスの面では6月の定時総会に向け、社外取締役の井原慶子氏が委員長を務め、日産の3人の社外取締役と3人の社外識者で構成する「暫定指名・報酬諮問委員会」で新たな取締役の候補を選定し、総会に諮る予定だ。「100人近い」(井原氏)候補から取締役を絞り込んでいるという。6月の総会後は社外取締役が取締役会議長を務め、特定の個人に権限が集中してきた過去の反省に立った組織とすることを目指す。
それでも株主の声は厳しい。「現経営陣はゴーン元会長の暴走を止められなかった。定時総会でも責任を問いたい」(三重県在住、50歳、男性)。「現経営陣はできれば一掃すべきだ」(千葉県在住、79歳、男性)。株主の不満は当然だろう。2015年には1300円を超えていた株価は足元で900円台に沈む。主力の北米事業でも販売不振が鮮明だ。臨時総会で「ゴーン体制」に区切りをつけた日産だが、事業、ガバナンス、アライアンスと、西川社長が掲げた3つの課題でクリアしていかなければいけないハードルはまだまだ多い。
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