東京女子医科大学は4月3日、東京都内で記者会見を開き「手術支援AI(人工知能)」を開発すると発表した。AIのシステム開発は日立製作所が主導で進め、2021年度までに実用化を目指す。東京女子医大が日立やデンソー、パイオニア、キヤノンメディカルシステムズなどと共同開発した「スマート治療室」への導入を予定する。日立製作所外科治療ソリューション本部長の中西彰氏は「スマート治療室の機能に加える形で事業化を目指す」と意気込んでいる。

スマート治療室とは、医療機器をインターネットでつなぎ、手術の進行状況や患者の状態などをリアルタイムで大型ディスプレーに表示するシステムを備えた手術室のこと。スマート治療室には、一部の医療機器をネット接続するベーシックモデル、ほぼ全ての医療機器を接続するスタンダードモデル、さらに患者を自動搬送するロボットベッドや4K3D内視鏡などを備えたハイパーモデルの3種類がある。
東京女子医大に導入されているのは最上位のハイパーモデルで、既に2月から脳神経外科での手術を開始しているものだ。このハイパーモデルを使った手術で集めたビッグデータを解析するなどして手術支援AIの開発を進める。
この手術支援AIが実用化されれば、手術中の危険予測や、効率向上のアドバイスができるようになり、手術の時間を短くして医師と患者の負担を軽減できる。例えば脳腫瘍の手術中、AIが過去の手術データを参照して「脳のこの部分を切除すると、死亡率は下がるが後遺症が残る」といった助言をすることを想定しているという。従来は、多種多様な医療機器から集まる膨大な情報から、手術中の医師が限られた時間で判断しなければいけなかった。
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