英国が泥沼にはまっている。3月29日、英議会はメイ首相が推す欧州連合(EU)からの離脱協定案を否決した。メイ首相は既に2回否決されていたにもかかわらず、ほぼ同じ案で3回目の採決に臨み、否決された。依然としてアイルランドとの国境問題の打開策が見つかっていない。

 英国は4月12日までに「合意なき離脱」か「長期の離脱延期」かを選択しなければならない。長期の離脱延期のためには、議会の解散総選挙や国民投票など代替案をEUに提示する必要があるが、英議会で過半数を得る離脱案を見いだすのは難しい状況であるため、合意なき離脱の可能性が高まっている。

 3月29日はもともとEUからの離脱日だったが、英議会は何も決められなかった。同日の議会周辺では、離脱派と残留派が様々な集会を催し、怪気炎をあげていた。

3月29日に英議会周辺で開催されたEU離脱派の集会。英独立党のナイジェル・ファラージ元党首が現れると、参加者のボルテージはあがった
3月29日に英議会周辺で開催されたEU離脱派の集会。英独立党のナイジェル・ファラージ元党首が現れると、参加者のボルテージはあがった

 筆者は何度か集会を取材しているが、当日はこれまでと雰囲気が違った。従来は友人知人と参加そのものを楽しむ雰囲気もあり、比較的穏やかな集会が多かったが、今回は双方が殺気立っているように感じた。多くの警官が出動していたため、暴力沙汰には発展しなかったが、双方のフラストレーションは相当高まっているようだった。

 英国内では議会への非難の声が高まっている。英エコノミスト誌は3月30日〜4月5日号の表紙で「愚かな島」と英国を評した。正体不明の路上芸術家バンクシーは29日、「退化した議会」とのタイトルの過去の絵画を写真投稿サイトのインスタグラムに投稿した。英議会と思われる場所で、無数のチンパンジーが議論しているような絵画だ。

続きを読む 2/2 欧州各国で市民権を取得する英国人が急増

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