旅行会社など約1200社が加盟する日本旅行業協会(JATA)が28日に記者会見を開き、観光庁に13日に提出した「訪日旅行の持続可能な発展に向けた提言書」と題した要望リストの内容を公表した。東京五輪・パラリンピックを来年に控え、インバウンド需要は盛り上がりを見せるが、旅行業界は既に「宴の後」の成長に不安を募らせている。

 「本日は特に重要な内容です」。会見は矢嶋敏朗広報室室長の重々しい挨拶から始まった。観光庁に提出した要望リストの内容をメディアに向けて公表した。

 訪日外国人旅行者は2018年に17年比で8.7%増え、3100万人を突破した。東京五輪を20年に控え、インバウンド需要は盛り上がりを見せるが、旅行業界は五輪後に「持続可能な発展」ができるのかを不安視する。

 安倍政権は訪日客を20年に4000万人、30年に6000万人に引き上げる目標を掲げている。会見に臨んだJATAの堀坂明弘副会長(日本旅行社長)は、「20年目標は既に射程に入っている。だが、30年目標に向けては様々な課題がある」と懸念を示し、政府に規制緩和や環境整備を急ぐよう注文をつけた。

日本旅行業協会(JATA)は28日の記者会見で、五輪後も訪日外国人旅行者を継続的に増やすために政府に提出した提言書の内容を公表した
日本旅行業協会(JATA)は28日の記者会見で、五輪後も訪日外国人旅行者を継続的に増やすために政府に提出した提言書の内容を公表した

 提言の内容は、大きく3つある。1つ目は、災害時に正確な情報を発信することだ。18年は6月に震度6弱の揺れを観測した大阪北部地震、7月には西日本豪雨が発生。災害の様子が各国のメディアで報道され、交流サイト(SNS)では不正確な情報も飛び交った。被災地周辺の観光地では風評被害もあった。

 「個人旅行で日本に来る人が増えており、現地の正確な情報を迅速に届ける仕組みがますます重要になっている」。JATA訪日旅行推進委員会・提言書部会の吉村久夫座長(JTBグローバルマーケティング&トラベル取締役)は話す。

 被災地周辺の宿泊施設の被害状況を旅行者、旅行会社、自治体が一元的に把握できる検索システムを立ち上げたり、政府が国連世界観光機関(UNWTO)などの国際組織や各国の駐日大使館に正確な情報を発信したりすることを求めた。交番の多言語対応や、所在地が分かるアプリの開発など、個人でも安心して旅行できるインフラ整備も訴えている。

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