インド発で取り扱い物件数がアジア最大の不動産運用ベンチャー、OYO(オヨ)が28日、日本で事業を始めた。ヤフーと合弁会社を設立し、ホテルのように気軽に使える賃貸サービスを展開する。

 同日の記者会見でOYOのリテシュ・アガルワル最高経営責任者(CEO)は「賃貸需要の高まりはグローバルな機運だ」と説明した。若者を中心に生活スタイルが変化し、家を買うよりも、賃貸を活用して自由に引っ越しをする生活を好む人が増えているという。

ヤフーの川邊健太郎社長(左)とインドOYOのリテシュ・アガルワルCEO
ヤフーの川邊健太郎社長(左)とインドOYOのリテシュ・アガルワルCEO

 ヤフーの川邊健太郎社長は「賃貸の検索は月間1000万回に及ぶ」と賃貸需要の高さを強調。モバイル決済サービス「PayPay」でOYOの賃貸サービスの利用料を払えるようにする計画を明かすなど、連携していく方針を示した。

 OYOが日本で展開する賃貸サービス「OYO LIFE」は、賃貸をシェアリングサービスと考えて再設計したような事業だ。入居時の仲介手数料、敷金、礼金といった初期費用がかからず、スマートフォンのアプリから最短4回タップするだけで部屋が借りられる。「ホテルを予約するように賃貸を借りる」というのが売りだ。1年未満など短期で次々と部屋を変える生活スタイルを想定している。

 貸し出し準備中の物件を含めて都内に1008室を確保。サービス開始までにSNSなどで情報を知った1万3205人が事前登録し、すでに470室が入居契約を結んだという。

 入居者には家事代行、カーシェア、コワーキングスペース利用、家具家電レンタルといったシェアリングサービスが1カ月間無料で使える特典「OYO PASSPORT」も提供する。この特典は物件を変えるたびに繰り返し受けられる。所有するよりもシェアリングサービスを好み、買い替えの手間を省く生活スタイルの需要に応えるという。

 日本での事業を担う合弁会社、OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPANの勝頼博則CEOは「ビジネスモデルとしては既存のサービスアパートメント、マンスリーマンションと変わらない。違うのは売り方だ」と説明。使いやすさや物件の魅力といった部分で需要を勝ち取れるとの考えだ。

「既存ビジネスとは売り方が違う」と話す合弁会社の勝頼博則CEO
「既存ビジネスとは売り方が違う」と話す合弁会社の勝頼博則CEO

 物件オーナーには家賃保証として、入居の有無にかかわらずOYOが賃料を支払う。競合のサブリース賃貸サービスとの違いは、長期の借り上げを前提として新築アパートを建設してオーナーに販売する収益が無いことや、アパートの一部の部屋のみをOYO LIFEで提供するといった運用ができることだ。

 賃貸事業そのものはOYOとしては薄利多売になることが予想され、サービスの質や使いやすさ、パートナーが提供するシェアリングサービスの魅力などで高い稼働率を維持する必要がある。事業展開する地域も、入退去する人数が多い都市部に限られそうだ。

 インドやマレーシア、ドバイ、サウジアラビアといったアジアを中心に急成長するOYOの主な事業はホテル運営。日本で賃貸シェアを展開する理由については「マーケットに合わせた判断」(アガルワルCEO)と説明している。

 日本でもシェアリングサービスは盛り上がりを見せているが、黒字化に成功している事業は一部のみ。総務省の18年の調査によると、シェアリングサービスの認知度は最も高い民泊で31.5%に留まる。インドの雄が手掛ける賃貸シェアが日本で受け入れられるかは、まだ不透明だ。

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