日産自動車が設置した企業統治改革の専門委員会は27日、日産のガバナンス(統治)問題に関する取締役会への報告書を発表した。カルロス・ゴーン元会長らの行為が「典型的な経営者不正」だったと指摘し、会長職を廃止するほか、社外取締役が過半数を占める指名委員会が経営陣を決める制度の導入などを提言した。日産の取締役の過半数は社外取締役となる方向性を示したが、1人の実力者に独走を許した経営層の稚拙さが、枠組み論へとすり替わっている印象は拭えない。

日産が設置したガバナンス改善特別委員会の榊原定征(右)、西岡清一郎両共同委員長(27日夜、横浜市内、写真:共同通信)
日産が設置したガバナンス改善特別委員会の榊原定征(右)、西岡清一郎両共同委員長(27日夜、横浜市内、写真:共同通信)

 ガバナンス改善特別委員会の榊原定征共同委員長(前経団連会長)は記者会見で「執行と監督を分けたのは先進的な提言」と強調した。「取締役の過半数は独立性を有する社外とすべき」という。過半が社外という仕組みは、海外投資家からも納得を得やすい選択肢だろう。

 ガバナンス特別委は今年6月末までに「指名委員会等設置会社」に移行することも促した。指名委員会等設置会社(当初は委員会等設置会社)は、経営の透明化を図る一つの解として、2003年に導入された。ただ、採用している上場企業は少なく、日本取締役協会によると70社程度にすぎない。実際にどう運用していけばガバナンスをクリアにできるのか、先例は多くない。過半を社外とする取り組みについても、複数の上場企業で監査役を務める公認会計士は「社内で育成した取締役と同水準で会社の将来を考えられる社外取締役がどれだけいるのだろうか」と語る。

 日産はゴーン氏が絶大な権力を誇ったとはいえ、会社の私物化を他の取締役会メンバーが指摘できなかったことが問題の根源だ。西川広人社長は11年から、ゴーン氏と同じ代表取締役だった。指名、報酬、監査の各委員会を設置したところで、制度を理解して能動的に動く人材が伴わなければ機能しない。指名委員会等設置会社である東芝の会計不祥事やLIXILの経営の混乱がそのことを示している。

 27日の記者会見で、西岡清一郎共同委員長(弁護士)は「個々の責任の認定はしない。あとは日産取締役会で判断されるだろう」として、現経営陣の責任への言及は避けた。西川社長らの責任を不問にしたまま日産は新体制に向けて動くのかもしれない。枠組みをつくるだけでなく、それを生かした運用ができるのかが問われる。

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