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 感染爆発の重大局面だ──。新型コロナウイルスの感染拡大に関して、小池百合子東京都知事が3月25日の会見で、「何もしないで推移すればロックダウン(都市封鎖)を招いてしまう」と危機感をあらわにし、急遽、ロックダウンが日本でも現実味を帯びてきた。

 安倍晋三首相の27日の参院予算委員会で「仮にロックダウンのような事態を招けば、わが国の経済にもさらに甚大な影響を及ぼす」との認識を示し、小池知事と危機感を共有していることを明らかにした。その後、28日夜の会見で安倍首相はロックダウンに必要な緊急事態宣言について「今の段階では緊急事態宣言ではないが、ギリギリ持ちこたえているということで、瀬戸際の状況が続いている」とコメント。すぐに首都・東京が封鎖されることはなさそうだが、予断を許さない。

 万が一、首都封鎖となれば、その影響は甚大となる。「ロックダウンの指示に従わなかったらどうなる?」「経済への打撃はどの程度?」など、今知っておくべき10のことを解説する。

(1)都市封鎖(ロックダウン)って何?

 都市封鎖(ロックダウン)とは、対象とするエリアの人の移動を制限したり企業活動を禁じることを指す。定義はあいまいで、東京都によれば、都は諸外国で既に採用されている外出禁止などを想定して使用しているという。

(写真:ユニフォトプレス)

 中国・湖北省の武漢では1月23日から、感染拡大を食い止めるために空港や鉄道駅、高速道路などを閉鎖し、都市を事実上、封鎖する措置を取った。

 中国以外でも多くの国がロックダウンの措置を取っている。既報「新型コロナで「外出禁止」ならどうなる? 欧州の事例を徹底比較」の通り、イタリア、スペイン、フランス、英国などは3月中旬から相次いで不要不急の外出を禁止。各国で規制の詳細は異なるが、イタリアのように生活必需品の購入さえ1週間に1度程度に制限している国もある。

 米国も3月28日時点で、20以上の州が外出制限を実施している。ニューヨーク州は22日から原則として州内の事業者の全従業員に対して出社を禁止し、完全在宅勤務を義務付けた。

(2)日本ではどんな根拠法に基づく?従わなかったらどうなる?

 菅義偉官房長官は27日の会見で、ロックダウンについて、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言によって、都道府県知事が外出自粛の「要請」、学校や福祉施設などの使用制限に関する「要請」や「指示」が可能になると説明した。特措法が改正されたことで、新型コロナウイルスも同法が適用できるようになった。

 内閣官房新型インフルエンザ等対策室によれば、特措法における「要請」とは、一定の行為について要請を受けた相手に対し好意的な処理を期待するものであり、その相手は要請を法的に履行すべき立場に立たされない。「指示」とは一定の行為を実施させることを指し、指示事項について相手に法的な履行義務が生じる。

 指示に違反したとしても刑事罰が科されるのは限定的だ。特措法で刑事罰が規定されているのは、必要な物資を確保するための都道府県知事からの命令に従わず、必要物資を隠匿、損壊、廃棄したケースなどに限られる。外出自粛や使用制限について特措法は罰則規定を置いていない。ただし、民事上の損害賠償の対象になる恐れがある。

 上記のように、法的な罰則規定を設けた完全な都市封鎖は日本では不可能だ。