全1254文字

 三越伊勢丹は3月27日、東京・渋谷の恵比寿ガーデンプレイス内にある恵比寿三越を改装オープンした。同店は2017年から順次、改装作業を進めてきた。今回の改装では、仕事や買い物などで恵比寿を訪れる人だけでなく、近隣に住む人に対する利便性向上を強く打ち出した。

開業は1994年。四半世紀を経て改装オープンした恵比寿三越

 今回、改装オープンした地下2階の食品売り場には、日替わりで各地域の人気ベーカリーが売り場に登場する「Every Day's Bakery」を立ち上げるなど、毎日のように店舗を訪れる顧客を意識した売り場にした。また、地下1階には幼児向けの学習教室「ミキハウスプレミアキッズクラブ」を導入し、来店が増えている子育て世代のニーズに対応する。

 同店は1994年の恵比寿ガーデンプレイス開業と同時にオープンした。恵比寿ガーデンプレイスは当時のサッポロビールにとって、約3000億円を投じて恵比寿工場の跡地を再開発する社運を賭けたプロジェクト。その核となる商業施設が恵比寿三越だった。

 同店の店舗面積は約1万8000平方メートルと一般的な百貨店の店舗と比べると小さい。そのため開業当初から、品ぞろえを絞り込むなど「普段使い」を想定していた。

 百貨店業界を取り巻く環境は厳しさを増している。全国の百貨店全体の売上高は91年をピークに減少傾向。三越伊勢丹を含む百貨店各社は地方や大都市郊外の店舗を相次いで閉鎖してきた。現在、大手百貨店各社は経営資源を収益性の高い大都市中心部にある大型店に集中させる方向にある。

 そうした中で、なぜ、小規模店舗の恵比寿三越は生き延び、さらに改装オープンに踏み切れたのか。

 1つは三越日本橋本店の「分店」として扱われてきたことがある。今も同店の売上高は対外的には、日本橋本店の売り上げとして発表されている。さらに25年前の開業当初の報道を見ると、内装を簡素にし、通常の百貨店よりも人員を減らすといった低コスト運営の実験店との位置付けもあった。

 そこに人口の都心回帰という「追い風」が吹く。不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」が公表している「住みたい街ランキング2019 関東版」によると、恵比寿は横浜に次いで住みたい街の第2位だった。2016年にはそれまで3年連続で1位だった吉祥寺に替わって1位になるなど、13年以降、2位以内をキープし続けている。

 恵比寿三越の来店客も「少し前までは50~60代が中心だったが30代のお客様が増えてきた」(田代直子店長)。今回の改装もこうした都心回帰による住民の変化を受けたものだ。

 折しも大都市中心部の大型店舗は人口の都心回帰の傾向を受けて、「地域密着」を打ち出している。四半世紀前に地域密着型の小規模店として開業した恵比寿三越はようやく時代の波に乗れたのかもしれない。

タグ「1分解説」をフォローしませんか

旬の話題やニュースを分かりやすく手短に解説。フォロー機能を設定すると、「1分解説」タグが付いた記事が配信されると画面上で通知されます。「#1分解説」でフォロー機能を設定できます。