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 アパートの施工・管理を手がけるTATERUが3月26日に開いた株主総会は、株主たちの不満の声が相次いだという。昨年8月にアパート建設希望者に対する融資資料を社員が改ざんしていたことが発覚。これ以降、業績は悪化、足元の株価は1年前の10分の1の水準に低迷しているのだから無理もない。

不正発覚で業績が急速に悪化しているTATERU

 同社は不正発覚を受け、昨年9月に弁護士などで構成する第三者委員会を設置。同12月にまとめた調査結果報告書によると、預金残高を水増ししたり、他人の預金通帳の写しを顧客のものとして金融機関に提出したりするなどして、融資に通りやすくしていた。こうした改ざんは350件にのぼり、社員31人が関与していた。

 不正の横行が明らかになった状況で開かれた今回の株主総会。出席した株主によると、「常勤の監査等委員の設置を求める」との声が出たという。同社で監査・監督の役割を担うのは3人の社外取締役が務める監査等委員。3人とも他の企業の社外監査役や社外取締役を兼ねており、これではTATERUをしっかり監査・監督できない、との不満があるようだ。

 そもそもTATERUは「監査等委員会設置会社」と呼ばれる会社形態だ。2015年の会社法改正で導入されたもので、3人以上で構成する「監査等委員会」が経営をチェックする仕組み。委員の過半を社外取締役にすることが求められており、TATERUでは3人の委員がいずれも社外取締役と、独立性の高い体制を整えていた。それでも、不正は見逃されたことになる。

 企業統治の強化が求められる中、取締役会で投票権を持たない監査役を置く「監査役会設置会社」から、監査等委員会設置会社に移行する上場企業は増えている。日本取締役協会の調べでは、2018年8月時点で東証1部上場企業のうち513社が移行、全体の4分の1を占めている。

 会社の意思決定に外部の見方を取り入れ、ガバナンスの透明性を確保する役割が期待される社外取締役。今秋の臨時国会に提出される見込みの会社法改正案では、上場会社や非上場の大会社を対象に社外取締役の設置を義務付ける方向だ。

 だが、カタチを整えても、中身が伴わなければ、不正は防げない。TATERUの株主が提起したように、常勤の取締役がいれば、チェック機能が働くかは分からないが、社外取締役ありきのガバナンス論に一石を投じたのは確かだろう。

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