ただ、今回の大減損をつぶさにみると、新型コロナによる景気変調や、資源価格の下落に含まれない個別要因も透けて見える。

 今回の3900億円の減損額のうち、足元のビジネスの変調による直接的な影響は200億円。中長期的な収益力が落ちたとして、保有資産の評価を引き下げた一過性の損失が3700億円を占める。うち資源関係は、米国メキシコ湾や英領北海の油田事業、チリの銅事業で計2050億円。それ以外で大きいのが、米国の穀物事業の1000億円だ。

米国の穀物集荷ターミナル。丸紅の米国穀物事業は、価格の低迷により苦戦していた
米国の穀物集荷ターミナル。丸紅の米国穀物事業は、価格の低迷により苦戦していた

 穀物は原油などと異なり、足元で大きな価格変動はない。新型コロナ流行以前から豊作のために価格が低迷し、収益が期待通りに上がらず、13年に買収した米ガビロンなど穀物事業は長らく丸紅の課題とされてきた。他の商社からは、「少なくとも米穀物事業の減損は新型コロナの流行と関係が薄いし、ほかの総合商社に共通する押し下げ要因ではない」との声が上がる。

 柿木社長も「穀物事業は新型コロナがなかったとしても(穀物価格の低迷という)ボディーブローを食らい、不振が続いていた。この辺で身軽にしてやりたかった」と述べ、新型コロナによる業績修正を機に膿(うみ)を出したと認めた。

 また今回、海外電力事業などで計650億円の損失も計上しているが、その背景は「提携パートナーとの守秘義務もあり、詳細は開示できない」としている。

 丸紅が先駆けて決算の下方修正を発表したことで、SNS(交流サイト)上では「商社総崩れか」と懸念する声が上がっているが、「新型コロナで原油や銅の価格は落ちているが原料炭はさほどでもない。資源といっても濃淡はある」(関係者)。一方、多くの商社が手掛ける航空機関連事業は国際的な移動制限が災いするなど、資源以外でも先行きは楽観視できない。自動車関連事業も景気の影響が出やすい分野だ。

 いずれにせよ、商社業界で最高益が相次いだ19年3月期までの「良き横並び」は終わりを告げた。「今年後半まで、商社の経営環境は厳しい」(アナリスト)との見方が出ており、新型コロナが「商社の地力」をつまびらかにする展開になりそうだ。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

10/26~28開催 脱炭素への新たな道筋をウェビナーで徹底議論

 日本のあらゆる産業が、脱炭素社会の実現に動き出しました。投資マネーの潮流が変わり、カーボンニュートラルに貢献する戦略や取り組みが見られない企業は淘汰されかねない時代になっています。一方で世界情勢の不透明感が高まっています。各企業はエネルギー調達戦略の見直しを進めつつ、脱炭素の取り組みを続けるという非常に難しいかじ取りを迫られています。

 日経ビジネスLIVEでは日経BP総合研究所と共同で10月26、27、28日の3日間にわたり「激動するエネルギー戦略 脱炭素へ向けた新たな道筋とは」と題したWebセミナー(ウェビナー)を開催します。気候変動がもたらす経営リスクや事業環境の変化にどう対応し、逆にチャンスへと転換するのか。専門家による講演やパネルディスカッションなどを予定しています。各セミナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひご参加ください。


テーマ:「激動するエネルギー戦略 脱炭素へ向けた新たな道筋とは」
日時:2022年10月26日(水)13:30~16:00、27日(木)13:00~17:00、28日(金)13:00~15:50(開場はいずれもセミナー開始10分前から)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
パートナー:アスエネ、アウディ ジャパン、ダイヘン、電通グループ、Hyundai Mobility Japan、J-POWER、パナソニックホールディングス、シーメンス・エナジー
受講料:無料 ※事前登録制(先着順)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。