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 総合商社の丸紅は3月25日、2020年3月期の連結最終損益が18年ぶりの赤字になる見通しだと発表した。従来予想の2000億円の黒字から3900億円引き下げて1900億円の赤字(前期は2308億円の黒字)になる見込みだ。赤字額は02年3月期(1164億円の赤字)を超えて過去最大。新型コロナウイルスが世界で流行し、資源価格が大きく下がるなどしたため、巨額の減損損失を計上したことが原因だ。

 「新型コロナウイルスの流行で、じわじわと人の動きと経済活動が止まっている。SF映画のようなことが実際に起きている」

 丸紅の柿木真澄社長は同日開いた記者会見で、赤字転落の背景をこう説明した。経済活動の停滞で原油や銅といった資源価格が下落して足元のビジネスに悪影響が出ているほか、「(悪い状況は)すぐに終息するとは到底考えられない」として中長期的な見通しも引き下げた。

2020年3月期決算の下方修正を発表する丸紅の柿木真澄社長(中央)

 柿木社長は経営責任を明確にするため、来期の役員報酬を5~6割減額すると明らかにしたものの、「想定するのは正直無理だった」とも語り、コロナ・ショックは避けがたかったとの思いをにじませた。

 資源価格は年初に比べて急落している。原油の価格は、年末年始に1バレルあたり60ドルほどで推移していたのが、3月には20~30ドルまで下がった。従来は石油輸出国機構(OPEC)やロシアなど主要産油国が協調して減産してきたが、国際シェアを優先するとしてサウジアラビアが3月上旬に増産に転換。さらに新型コロナ流行による移動制限で、航空機や自動車向けの燃料の需要が減るとの見方が重なった。

 銅の価格も、大手自動車メーカーの生産が相次いでストップし、ロンドン金属取引所の3カ月先物価格は年初から2割超も下落した。

 大手商社の業績は米中貿易摩擦の激化で退潮傾向が現れていた。ようやく19年12月に米国と中国が第1段階の合意に至り、「やっと持ち直すかというところで新型コロナがやってきた」(別の総合商社幹部)。あるアナリストは、「丸紅以外も総合商社は資源関係のビジネスを手掛けており、個社別の要因と言うより全般的に注視する必要がある」と語る。