三井住友カードは26日、モバイル決済を手がける米スクエアとの提携強化を発表した。同社の決済端末を無償提供するといったキャンペーンのほか、三井住友銀行の支店内で端末を紹介する取り組みも始める。新興のフィンテックサービスが世間で注目を集めるなか、伝統的な金融機関グループだからこそ保有しているリソースをフル活用し、キャッシュレス決済の普及を加速させる考えだ。

スクエアが同日発売した「スクエアリーダー」は、クレジットカードや非接触式のICカードなどによる支払いに対応する決済端末。事業者は手持ちのスマートフォンやタブレットと接続するだけで、手軽にキャッシュレス決済に対応できる。決済の翌営業日には売上金が振り込まれるなど、従来のクレジットカード決済にはない利便性が特徴だ。

三井住友カードは4月、通常7980円(税込)する同端末を無償提供するキャンペーンを始める。中小事業者にとって負担感の大きい専用端末の導入コストを肩代わりすることで、「キャッシュレス決済の裾野を広げていく」(大西幸彦社長)狙いだ。決済手数料の無料化についても、期間限定で実施する。
PayPayやLINE Payなどに代表されるように、キャッシュレス決済をめぐっては大々的なキャンペーンを展開する新興サービスが注目を集めている。
巻き返しを図る三井住友カードの武器はグループの支店網だ。三井住友銀行では4月から、支店を訪れた中小事業主に対し、スクエアの端末やサービスを紹介する取り組みを始める。地域の商店などの経営者は高齢者の場合も多い。普段から付き合いのある銀行が「お墨付き」を与えたサービスなら受け入れられやすいとの読みがある。
三井住友カードは2012年にスクエアに出資し、日本国内でのサービス展開を支援してきた。今後は「グループ全体で100人の支援要員を用意する」(大西社長)など、三井住友フィナンシャルグループ全体でバックアップすることになる。
「事業主の99%を占めるスモールビジネスの経営者たちがキャッシュレスを導入するのを支援していきたい」。ツイッター創業者でもあるスクエアのジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)が26日の記者会見でそう話せば、三井住友カードの大西社長はスクエアについて「キャッシュレス決済の普及に向けた切り札になる」と持ち上げた。
イノベーティブなサービスを開発するフィンテック企業と、信用力と顧客基盤をもつ既存の金融機関がタッグを組む……。この構図は、みずほフィナンシャルグループにも共通する。今後、IT(情報技術)と金融を組み合わせたサービスを社会に広めていくうえで、戦略の一つになりそうだ。
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