第19回統一地方選が幕を開け、北海道、大阪府、福岡県など11道府県知事選が21日、告示された。今年は12年に1度、統一選と夏の参院選が重なる「亥年選挙」で、与野党にとって夏の参院選に向けた前哨戦となる。

 与野党の全面対決は北海道のみで、福井、島根、徳島、福岡の4知事選は野党の弱体化を背景に自民勢力が対決する保守分裂選挙となった。24日告示の札幌、大阪など6政令市長選や29日告示の41道府県議選、17政令市議選とともに4月7日に投開票される。

候補者の訴えを聞く有権者ら=21日、北海道安平町(画像の一部を加工しています。写真:共同通信)
候補者の訴えを聞く有権者ら=21日、北海道安平町(画像の一部を加工しています。写真:共同通信)

 最大の注目は大阪府知事・大阪市長の「ダブル選挙」だ。大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」の行き詰まりを打開しようと、大阪府知事の松井一郎氏が24日告示の市長選に、前市長の吉村洋文氏が府知事選にそれぞれ出馬する。得意の劇場型選挙で勝負に出た維新に対し、自民、公明両党など主要与野党の「反維新」陣営が激突する構図となった。

 都構想に反対する自民は元副知事の小西禎一氏を擁立。反維新勢力は濃淡はあるにせよ、小西氏への支援で足並みをそろえた。大阪市長選に立候補する予定の柳本顕・元大阪市議に関しても同様の共闘の枠組みができている。

 維新は同じ投開票日の大阪府議選・市議選とタイミングを合わせることで相乗効果を狙う。ただ、自民幹部によると、最新の情勢分析で特に大阪市長選は大接戦の様相だという。

 仮に知事選と市長選のどちらかを落とせば、都構想の推進は事実上終止符が打たれる公算が大きい。その場合、維新の存在感低下は避けられず、国政レベルで憲法改正などに関して協力関係にあった安倍晋三首相や菅義偉官房長官の政権運営にも影響を及ぼす可能性がある。

 一方、参院選を前に自民が懸念を強めているのが、保守分裂となった福井、島根、徳島、福岡の知事選だ。福岡県では、3選を目指す小川洋氏に新人で元厚生労働官僚の武内和久氏が挑む。小川氏はこれまで支援を受けた地元選出の麻生太郎副総理・財務相との関係が悪化。自民党本部は麻生氏の意向に配慮し、武内氏を推薦した。これに対し、小川氏の陣営には今もなお一定の影響力を保つ山崎拓・元自民副総裁ら「反麻生」勢力が結集した。

 「福岡での動きは、安倍首相の総裁任期切れが次第に近づく中、安倍首相に優遇されてきた麻生さんの今後の影響力低下を見据えた攻防という面も大きい」。内情を知る自民のベテラン議員はこう漏らす。

 4県はいずれも自民の支持基盤が強く、保守分裂選の背景に野党の足腰の弱さがあるのは間違いない。ただ、知事選を巡り自民内の対立が深まるほど今後の参院選の不安材料になりかねないだけに、首相官邸は気をもんでいる。

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