米国の研究グループは、新型コロナウイルスが空気中をミストのように浮遊する「エアロゾル」の状態で3時間以上生存できると医学専門誌で発表した。論文では「私たちの結果から、エアロゾルによる伝播(でんぱ)はもっともらしい」としているが、厚生労働省は「国内データではエアロゾルによる感染の証拠はいまだない」としている。

(写真:AP/アフロ)

 米国立衛生研究所(NIH)や米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)米疾病対策センター(CDC)などの研究グループが3月17日付で米国の医学専門誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文を掲載した。

 既報の「新型コロナウイルスのエアロゾル感染、厚労省『証拠なし』」で触れた通り、エアロゾルとは、気体中を浮遊する微小な液体または固体の粒子であり、霧や煙霧、スモッグなどもその一種であるとされる。国立感染症研究所は粒径5マイクロメートル未満と定義している。

 せきやくしゃみで排出される多くの飛沫は5マイクロメートル以上で、1〜数メートルしか飛ばないが、5マイクロメートル未満の飛沫や空気中に含まれている霧のような微粒子であるエアロゾルは、すぐには地上に落下せず、ウイルスを含んだままふわふわと空気中を漂う。

 米国の研究グループは噴霧装置を使って、ウイルスを含んだ液体を粒径5マイクロメートル以下の状態とし、空気中での生存時間を調べた。

 実験の結果、噴霧してから3時間が経過してもウイルスの生存が確認され、同グループは新型コロナウイルスについて、「エアロゾルの伝播がもっともらしいことを示している。なぜなら、ウイルスはエアロゾル中で数時間、生存し、感染性を維持できるからだ」とした。

 この論文について、厚労省結核感染症課は日経ビジネスの取材に対し、「エアロゾル中でウイルスがある程度の時間、生存し続けることと、エアロゾルによって感染することとはイコールではない。引き続き、国内でエアロゾルによって感染したことを示す証拠は見つかっていない」とコメントし、接触感染、飛沫感染の2種が感染経路であるとの従来の見解を堅持した。

 その上で、日常でエアロゾルが大量に発生するのは「医療現場で気管挿管などの処置をするような場合などに限られる。日常生活でウイルスを含んだエアロゾルがスプラッシュのように発生することはほとんどない」とした。

 ただし、厚労省もせきやくしゃみが発生していない状態で感染したと疑われる事例があることは認識しており、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が3月9日に示した3つの条件を避けるよう訴えた。3つの条件とは、(1)換気の悪い密閉空間、(2)人が密集、(3)近距離での会話や発声、を指す。

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