「5Gでは今までにない新たなサービスや体験価値を創出し、世界を変える」

 NTTドコモが3月18日に開催した、次世代通信規格「5G」による商用サービスの発表会見で吉沢和弘社長はこう宣言した。同社は2019年9月に試験サービスを始めていたが、25日から一般消費者向けにも提供する。通信速度は基地局から端末への下り方向で毎秒最大3.4ギガビットと現行の4G方式のおおむね2倍以上。さらに今年6月以降は最大毎秒4.1ギガビットに高める。

 用意する料金プランはデータ容量が大きい「5Gギガホ」と通信使用量に応じて料金が変わる「5Gギガライト」の2種類。このうち目玉となるのは5Gギガホだ。4Gスマホ向けの同様プランに比べ500円を上乗せし、月額7650円(税別)で最大100ギガバイトまで通信できる。さらに終了時期を定めていない「データ量無制限キャンペーン」も併せて提供。キャンペーン期間中はデータ通信が使い放題になるとしている。

 ただし当初の利用エリアは鉄道駅や空港、スタジアム、観光・商業施設、ドコモショップなど全国150カ所と限定的だ。ドコモは当初計画より2年前倒しし、6月末までに47都道府県に5G基地局を設置し、21年3月末には全国の政令指定都市を含む500都市に展開する。2年後の22年3月末には計2万局の5G基地局を設置する計画だ。

 吉沢社長が「『アンリミテッド(無制限)』な世界を実現したい」と言うように、キャンペーンではあるものの通信容量に制限を設けない「使い放題」のプラン提供に踏み込んだNTTドコモ。背景にあるのは、現行の4Gより高速・大容量のデータ通信が可能な5G「らしさ」をアピールして消費者のニーズを掘り起こしたいという狙いだ。そのため、今回は通信サービスだけでなく、映像や音楽、スポーツ、ゲーム、アニメなど多様な“リッチコンテンツ”を同時に用意した。

 例えば音楽ライブの8K映像を生配信する「8KVRライブ」。音楽ライブ会場に設置した360度撮影可能な8Kカメラからの生映像をリアルタイムで配信する。利用者はスマホの専用アプリとVR(仮想現実)ゴーグルを組み合わせて視聴することで、ライブ会場にいるかのような臨場感を味わえるという。

 スポーツの試合中継にもNTTドコモは力を入れている。試合会場に5G基地局を設置し、複数の中継カメラによる高精細な試合映像をリアルタイム配信する。試合フィールド全体の映像とゴール近くの映像など複数のアングルを2つの画面で同時に視聴できるようにするなど、新たな観戦スタイルを提案しようとしている。このほか4K配信対応のクラウドゲーム、アニメコンテンツなども用意する。

 歴史を振り返れば第1世代から第2世代までの携帯電話サービスは「電話」を屋内から外に持ち歩けるようにするために進化した。インターネットをモバイル環境で利用する手段として本格的に使われるようになったのは第3世代からだ。NTTドコモも3Gの黎明(れいめい)期だった2000年前後、消費者のニーズを探るべく音楽配信やビデオ通話などの様々なマルチメディアサービスを自前で提供していた。現在の4Gも、基本的にはスマートフォンを通じてモバイルインターネットの世界をより広げたものだ。一方、今度の5Gについては世界の携帯電話会社などが新たなサービスを掘り起こそうとしている。だからこそNTTドコモも3G立ち上げの頃と同様に自前で多様なコンテンツを当初から投入しようとしているのだろう。 

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