トヨタ自動車とパナソニックは3月15日、2020年の東京五輪・パラリンピックで使用するロボットとパワーアシストスーツを公開した。介護や障害者支援を念頭に開発したが、大会で実際に運用することで世界にアピールする狙いだ。

「皆さんこんにちは。私は生活支援ロボットHSRです」
高さ約1メートルの白いロボットが手を振りながらあいさつした。トヨタが開発した生活支援ロボットの「HSR(Human Support Robot)」は、1本のアームを伸び縮みさせて床に落ちているものを拾ったり、最大1.2kgの物体を持ち上げたりできる。移動速度は時速2.2km。周囲の状況を認識して自律走行する機能も備える。
大会本番ではスタジアムにHSRを16台導入し、車いす利用者を観覧席まで誘導する計画。試験施設などで検証を進めているが、公の場で大々的に打ち出すのは東京五輪が初めてとなる。トヨタ自動車未来創生センターの山内実氏は「大会で技術力をアピールし、2020年代中盤から30年代に介護施設などでの普及を目指す」と意気込んでいる。

HSRの相方が、同じくトヨタが開発した物品運搬ロボットの「DSR(Delivery Support Robot)」。会場に設置したタブレット端末で飲み物などを注文すると、DSRが棚に乗せて車いす観覧席近くまで運搬。HSRが受け取って、観客に手渡すことを想定している。

パナソニックが披露したのは、18年7月から販売しているパワーアシストスーツだ。価格は70万円弱で、これまでに240台販売した。稼働時間は約4時間。装着した人の腰の動きをセンサーで把握し、モーターを使ってアシスト。腰にかかる負担を10~40%軽減する。
大会で重い飲食物や廃棄物などを運搬するスタッフを支援するため、20台程度提供する。パナソニックの東京五輪・パラリンピック推進本部の内田賀文氏は「大会でアピールして販売を伸ばしていきたい」と話す。
介護現場などでは身体的な負担が大きく、人手不足が深刻化している。働き手に定着してもらうには、作業をサポートするロボットの開発が喫緊の課題だ。東京五輪・パラリンピックでこれらの技術に注目が集まれば、開発が加速しそうだ。
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