日本郵船が2027年3月期までの4カ年中期経営計画を発表した。策定にあたっては、50年の世界を予見したうえで、バックキャスト(逆算)して具体策を練ったという。郵船はどのような未来を描いたのか。
「若手の執行役員にタスクフォースを組ませて2050年の姿を想定してもらい、そこからバックキャストしてつくったものだ」。中期経営計画を発表する前に、長沢仁志社長はこう強調した。
発表された中計は4年間で、27年3月期が最終年度。同時に30年に向けた新たなビジョンを策定し、その実現を目的とする行動計画と位置づけている。しかしそのビジョンもまた、50年という遠い将来にありたい姿を見据えた実行戦略なのだという。具体的には、人口、グローバル化、テクノロジー、環境という4つのメガトレンドを分析し、郵船の事業にどう影響するのか検討を重ねた。では、郵船は50年をどのような世界だと見ているのだろうか。

まず人口。新興国で特に中産階級が増加し、世界経済の重心がアジア寄りに移動する。次にグローバル化だが、これはペースが鈍化。米中の国家間対立など不確実性が増す。
この2つから導き出される50年の世界は「人口増により物流需要は増加し続けるが、地政学上のリスクの顕在などによりアジア域内の荷動きが中心になる」というものだ。長距離輸送よりも、近海・国内海上輸送の伸びが想定される。
テクノロジーはどうか。脱炭素化の技術が加速度的に進歩し、モノよりもサービスやソフトウエアの需要が増加する。環境でも脱炭素化が進み、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)が浸透する。
郵船はこれらのメガトレンドから「脱炭素化やICT(情報通信技術)の進化でバリューチェーンが変わり、運ぶモノや運び方、収益源は変わらざるを得ない」と判断した。例えば、鉄鉱石や石炭、石油の世界需要は減少が見込まれる。一方、バイオ燃料やバイオマスの輸送が増えるとみる。
では、具体的な打ち手はどうするのか。
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