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 デサント側は最終的にMBO(経営陣が参加する買収)を検討していることを伊藤忠に伝えた。このままでは自らが排除されかねないと受け止めた伊藤忠は今年1月にTOBの実施を発表した経緯がある。

 今後はデサントの株主総会が焦点になりそうだ。伊藤忠は石本社長らデサントの現経営陣の再任に反対票を投じるとみられる。デサントの2位株主で7%弱の株を保有する中国・安踏体育用品(ANTA)も伊藤忠に同調している。議決権行使比率を考えると、もはやデサントの負けは「ほぼ確定」(市場関係者)している。

 株主総会は通常なら6月だが、伊藤忠はそれまで猶予を与えず、臨時株主総会の開会を求めるかもしれない。5月ごろに開催される可能性がある。「デサントの企業価値を毀損しないためには一刻も早く経営陣を刷新した方がいい」(伊藤忠関係者)とみている。

 ただ臨時総会の請求は両社の対立を一層あおることになる。伊藤忠もできれば取りたくない選択肢だろう。臨時総会のすぐ後に定時株主総会という日程になると、手続き面でも複雑になる。招集通知の印刷、発送に必要な期間を考えると、臨時総会を開催する時点で次の定時総会の議案が固まっている可能性が高い。臨時総会で経営体制ががらりと変わった場合、定時総会に向けた議案が事実上意味をなさなくなるかもしれない。

 いずれにしろ石本社長が土俵際に追い詰められたことに変わりはない。しかし、伊藤忠が新経営陣を送り込んだとしても、課題は山積していると言わざるを得ない。対立に終始するばかりだと、「デサントの企業価値を向上させる」という本来のゴールは霞んでいくだけだ。

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