離脱への準備期間が鍵に

 一連の結果から見えてくるのは、何らかの離脱案にせよ、合意なき離脱にせよ、準備期間を考慮して早めに結論を出した方が、企業活動の助けるになるという点だ。

 多くの企業はEUとの間に関税がかからない穏健な離脱案を支持していた。だが、2回に渡ってメイ首相の離脱案が英議会で否決され、もはや穏健な離脱案がまとまる望みは薄い。

 大和総研の菅野泰夫ロンドンリサーチセンター長は、かねて英議会はいち早く採決を実施して方針を定めるべきだと主張していた。「英議会があらゆる離脱案に反対するのであれば、英政府は合意なき離脱を受け入れ、できるだけ早く激変緩和の準備を進めた方がいい」という。

 実質的には「合意なき離脱」というのは考えにくく、社会経済のインパクトが大きい分野については英国とEUで激変緩和の条件を詰めていくはずだ。だが、「大失敗したメイ首相の脅迫戦法、英議会がEU離脱案否決」で指摘したように、メイ首相が採決を引き延ばしたために、合意なき離脱に備える時間を奪ってしまった。

 英議会が14日に離脱延期を可決しても、EUとの交渉が必要で英国だけで延期期間は決められない。5月の欧州議会選との兼ね合いなど、その時期を巡っても紆余曲折がありそうだ。また延期したとしても、国民投票でEU残留が決まったり、穏健な離脱案がまとまったりという企業が期待する結果にはなりそうもない。企業が現実的な対応を取るためには、離脱への準備期間をどれだけ取れるかが鍵になりそうだ。

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