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 LIXILグループは13日、子会社の不適切な取引を調べていた特別調査委員会から中間報告書を受け取ったとして、同報告書を全文公開した。プライバシーなどの観点から個人名など報告書の一部を黒塗りにしたとは言え、18ページすべてを開示した。だがLIXILは瀬戸欣哉氏のCEO(最高経営責任者)職を昨秋に解任した過程に関する調査報告書では、会社側が書き直した「要約版」を開示しただけで全文の開示を拒んでいる。

(写真=共同通信)

 LIXILが13日発表したのは住宅やビルのメンテナンスをする子会社における不適切な取引行為に関する調査の中間報告書。会社と利害関係のない祝田法律事務所の熊谷真喜弁護士を委員長とし、ほかに弁護士と公認会計士の計3人からなる特別調査委員会による調査が行われている。

 計18ページにわたる中間報告書は個人のプライバシー及び機密情報保護等の観点から部分的に黒塗りになっている箇所がある。とはいえ全文を開示していることは評価に値するだろう。まとめの部分では、子会社で「過年度より、工事完了日操作による先行計上が行われていたことが認められた」などとして「不適切な会計処理が行われた可能性を否定できない」とし、その場合の売り上げや利益に対する影響額まで開示している。

 そして最終的にはLIXILグループとして影響が軽微と判断し、過去の決算訂正はしないとも発表している。

 一方、LIXILグループがその不透明さを問われている瀬戸欣哉氏の解任経緯を調査・検証した調査報告書はどうだったか。西村あさひ法律事務所に依頼して行われた調査は2月25日、LIXILから発表された。しかしこれは調査報告書そのものではなく、18ページあった調査報告書を会社側が8ページに要約しなおしたものだ。

 子会社の不適切取引の中間報告書は日本取引所グループのTDnetという投資家が日々チェックする適時開示システムで開示した。一方、瀬戸氏解任の経緯の調査報告書の要約は自社のホームページに載せたが、TDnetでは掲載していない。

 西村あさひによる調査報告書の要約版は不可解な点がいくつも残る。例えば瀬戸氏を事実上解任した創業家の潮田洋一郎氏(現会長兼CEO、当時は取締役・取締役会議長)と瀬戸氏の間の経営を巡る意見対立が「深刻に存在していた」とあるが、その対立が何かが全く触れられていない。株主からは「不都合な部分を隠している」と批判の声が上がっている。

 この調査報告書をどう開示するかについて、LIXILの取締役会は紛糾したとされる。一部取締役が、調査報告書全文を公開するべきではないか、と要約版での開示に疑問を投げかけたためだ。しかし最終的には調査報告書全文は非開示になった。

 投資家の関心は影響が軽微な子会社の会計不正より、経営方針の根幹にかかわるこちらの方がはるかに高いに違いない。LIXILは一般の株主にも伝わるように説明責任を果たさなければ、投資家の支持をなかなか得られないだろう。

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