(写真=Tomohiro Ohsumi / Getty Images)
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 京成電鉄の子会社でタクシー大手の帝都自動車交通(東京・多摩市)は、京王グループ系列の京王自動車(東京・中央)とタクシー事業で提携した。この提携によって2社のタクシー網は拡大する。ここに鉄道など他の交通事業者との連携を進めれば、シームレスな交通サービスを目指す「MaaS」の実現に大きく近づくことができるはずだ。ただ2社がこうした領域に踏み込むのは難しく、一筋縄ではいかない事情があるという。

 今回提携したのは「京成」と「京王」という電鉄系の親会社を持つ2社。提携で狙うシナジーは営業台数を増やし利用者の待ち時間を軽減することだ。これまで東京都内23区、武蔵野市、三鷹市で走るタクシーの数は、帝都自動車交通が969台、京王自動車が229台だったが、今回の提携により合計1198台となる。配車アプリの利用も増える一方で依然として電話による配車需要も多く、台数拡大をサービス向上につなげたい狙いだ。

 タクシーの「サービス向上」と聞けば、親会社を巻き込んだ鉄道との交通連携といった可能性も見えてくる。ただ、いくら子会社同士で手を組んでも、「肝心の親同士が提携していなければ新たなサービスにはつなげられない」(関係者)という。京成電鉄、京王電鉄によると「今回の連携はタクシー業務に限ったもので、鉄道やバスも含めたMaaS事業に広がるものではない」。これまでの2社のコラボレーションも、スタンプラリーや時刻表アプリの連携などに留まっている。

 日本でも様々なモデル事業が立ち上がり実証実験が進められるなど、MaaSの取り組みは日々加速しているが、鉄道事業者間の連携がなかなか進まないことが課題の一つとして浮かび上がっている。

 異なる交通手段が連携する「マルチモーダル」はMaaSが目指す概念の一つ。「鉄道×シェアサイクル」「鉄道×飛行機」など異業種間だけでなく、本来は同業の交通事業者同士の連携が不可欠だ。だが首都圏を例にとってみても、実際は大手私鉄同士が連携する目立った動きは今のところ見られない。

 他社との連携に積極的なJR東日本は、小田急電鉄とMaaS領域での連携を発表しているほか、東急電鉄と共に伊豆エリアで「Izuko」の実証実験を進めるが、こうした取り組みは限定的だ。

 そんな中で存在感を示しているのが、第三者として間を取り持てる事業者だ。乗り換え案内アプリ「駅すぱあと」を開発するヴァル研究所(東京・杉並)や日本交通系のJapanTaxi(東京・千代田)などが、電鉄系のしがらみのない身軽さから各交通事業者との連携を強めている。他にも、トヨタ自動車とソフトバンクが主導する「MONETコンソーシアム」など、企業間連携を前提としたプラットフォームもマルチモーダルを一足飛びに進めるための足がかりとなりそうだ。

 とはいえ日本版MaaSが本格的に世に実装されるのはもう少し先の話。各地で小さく始めている実証実験をコツコツ重ねているうちは様子見も許されるかもしれない。ただ、今後戦局が変化したときにはライバルと握手する心算も必要となってくるだろう。

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