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「SNSだけではリーチできない」

 スマートフォンの登場から10年が経過し、あらゆる消費のトレンドがSNSとは無縁ではいられない時代になった。企業もこぞってインターネットを活用したマーケティングを展開しているが、「SNSだけではリーチできないお客がいる」と、三井住友銀行の上村明生リテールIT戦略部長は話す。

 SNSは自分の興味ある情報は頻繁に流れてくる一方、関心を抱いていない商品やサービスなどの情報は目に入って来にくい。リアルな空間に消費者との接点を築くことで、三井住友銀行はアプリの認知度を高める狙いだ。

 ネット時代にいかに顧客との接点作りを進めるのかは、あらゆる企業にとっての悩みのタネとなっている。「ネットだけでは消費者との接点づくりには限界がある」と考えるネット企業は少なくない。アマゾン・ドット・コムが米高級スーパーを買収し、実店舗の運営に乗り出したのが象徴例だろう。

 銀行はかつて駅前の一等地に支店を構え、顧客に足を運んでもらっていた。だがネットサービスの普及により、支店を訪れる顧客は減っている。三井住友銀行はすでに、地域ニーズに応じて支店を住宅街のなかに移すなど、「客を待つ」のではなく、「客のもとへ出向く」店舗改革を進めている。

 「客を待つ」のではなく「客のもとへ出向く」必要性は、インターネットであっても変わらない。「お堅い」と揶揄されることもある銀行。アプリの使い勝手を高めたからといって、消費者に知ってもらえなければ意味がない。独自の「ゆるさ」でお堅いイメージを払しょくし、アプリの利用拡大につなげることはできるか。