富士通は12日、NTTドコモと組み、妊産婦が自身の健康診断結果や胎児のエコー画像をスマートフォン(スマホ)から手軽に確認できるようにするサービスを共同で始めると発表した。これまでは医療機関内で管理されていた電子カルテを活用。妊産婦の負担軽減と、医療機関の診療の質の向上につなげるという。

4月1日から始めるのは「妊婦健診 結果参照サービス」。富士通が産科医療機関向けに月額3万円から提供する。地方自治体が交付する母子健康手帳の記録をデジタル化するドコモの「母子健康手帳アプリ」のユーザーなら、かかりつけの産科医療機関にある自身の電子カルテをスマホから確認できる。医師のアドバイスや胎児のエコー画像を自宅で見たいという妊産婦のニーズに応える試みだ。
富士通に個人情報の塊ともいえる電子カルテのデータが集まる背景には、医療情報を用いて健康意識を高めるサービスの開発を国が後押ししていることがある。厚生労働省、経済産業省、総務省がそれぞれ医療情報の安全管理ガイドラインをまとめ、事業者が守るべき項目を公表している。富士通はこうしたガイドラインに対応しながら、「あくまでも個人の同意に基づきデータを管理する」(第二ヘルスケアソリューション事業本部の山田直樹氏)という。
健康情報を生かしたサービスを巡っては、タニタなどがウエアラブル端末を使った健康管理を手助けするサービスを展開するなど、各社がしのぎを削っている。少子高齢化で膨張する医療費を削減する上でも、IT(情報技術)を活用した新サービスは欠かせない。
ただ、こうしたサービスは公益性が強く、収益化できるかは未知数だ。富士通の山田氏も「実際にビジネスモデルとして回っていくかを注視する」と控えめ。利用者の健康意識を高めながら、事業者も儲かる。そんな成功モデルを作り出さなれば、続々と生まれる各種健康サービスもなかなか根付かないかもしれない。
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