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 日立製作所が51%を保有する子会社の日立化成株を売却する方針と一部で報じられた。日立は「企業価値向上に向けて様々な検討は行っていますが、現時点で決定した事実はありません」というリリースを11日の午前中に開示した。11日の東京株式市場では日立株が前週末比5.61%、日立化成株は同20.14%も上昇した。

 今回のディール、実は成否のカギを握っているのは親会社の日立よりも子会社の日立化成かもしれない。複数の関係者が「日立化成は既に外資系証券会社をファイナンシャルアドバイザーとして雇用した」と語っている。一方で日立はまだそこまで本腰を入れているようには見えない。

 日立の姿勢を一言でいうと「日立化成がいい買い手を見つけてきてくれれば売りましょう」というスタンスのように見える。実はこれは日立にとっては常套手段だ。日立工機を売却したときも同様とみられるが、日立は子会社が自ら買い手を探してきた話を日立として検討する、というケースが多い。これは日立がなんとしても子会社を売りたがっている、という姿勢を見せないで済むメリットがある。「交渉において、足元を見られずに済む。日立は売り上手」(日立案件を手伝ったことのある証券会社幹部)ということになる。

 今回も、日立製作所が買い手を探しているというよりは、日立化成がいい買い手を見つけてくるのを、日立が待っている、というべきかもしれない。実際、日立の東原敏昭社長兼CEO(最高経営責任者)は、子会社の売却について「(子会社に独立したいと言われたら)合理性があればいい。株主としては対応するが、向こう(子会社)の判断で決めてくる」という。

日立の東原敏昭社長兼CEOは「向こう(子会社)の判断で決めてくる」と話す(写真:北山 宏一)

 日立の事業の選択と集中の戦略は、資本効率の改善という観点から株式市場の評価は高い。11日には日立化成だけではなく日立建機や日立金属、日立ハイテクノロジーズなどの株価が軒並み上昇した。こうした企業も自ら買い手を見つけてくる努力を既に始めているのかもしれない。

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