1年2カ月ぶりに、日経平均株価が2万円を割った。原因は新型コロナウイルス感染拡大のみならず、原油価格急落や円高進行も関係している。米長期金利が1%を下回る状況が続けば、円高定着リスクはまぬがれず、企業業績の悪化、株価の下落はしばらく収束しなさそうだ。
(写真:長田洋平/アフロ)

 「2万1000円を下回ることはないだろう」。市場関係者多くが、先週末までこのような見立てを持っていた。だが、新型コロナウイルスの感染が中国・アジアに留まらず、欧米にも拡大していることを受けて、状況は変わりつつある。

 9日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅に下落、1年2か月ぶりに2万円を下回る1万9698円で取引を終えた。感染拡大に伴う企業業績の悪化に加えて、石油輸出機構(OPEC)の協調減産強化に向けた話し合いが決裂し、原油価格が急落したことも投資家のリスク回避姿勢を強めた。みずほ証券シニアマーケットエコノミストの末広徹氏は「今回は原油下落のインパクトが市場に与えた影響が大きい。原油価格が下落すると、エネルギー関連企業は軒並み赤字となるため、社債等が値崩れしている。金融危機の引き金になるのではという不安が広がった」と分析する。

 加えて米国企業では、低金利を背景に買い入れを増やし、それを配当や自社株買いに充てている企業も少なくない。今後、投資家のリスク許容度が弱まれば、こうした米企業の企業債務が拡大している点も、嫌気されるだろう。

 日本株は、しばらくの間、こうした世界経済のきな臭い動きに翻弄されることが予想される。しかし、一番のマイナス材料はやはり、円高だろう。

 3月4日に米連邦制度理事会(FRB)が0.5%の利下げに踏み切り、日米の金利差縮小を受けて為替市場では先週から円高ドル安が進行、3月7日には1ドル=105円36銭まで円が買われた。そして週明けの3月9日、円相場は一時、投資家の心理的節目となる1ドル100円に接近し、1ドル=101円55銭と16年11月以来の円高水準となっている。

 楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストは、「米長期金利の1%割れが定着すれば、ドル円のフェアバリューは1ドル=100~103円。さらなる円高進行が予測される」と、円高が定着するリスクがあると指摘する。

 自動車関連企業を始め、多くの日本企業の20年3月期の想定為替レートは1ドル=108円前後。それだけに、今後、多くの企業が業績の下方修正、そして来期以降の収益環境の見直しを迫られるだろう。

 今後の日本株市場は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う実態経済の悪化と円高リスクを徐々に織り込むという「ダブルパンチ」状態となることが予想される。市場関係者の間では、2万円割れが定着するとの見方も浮上してきた。日本企業にとって、厳しい局面が始まろうとしている。

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。