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 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は3月6日、“A Privacy-Focused Vision for Social Networking”という長文をフェイスブックに投降した。「プライバシーにフォーカスしたコミュニケーションプラットフォームは現在のオープンプラットフォームよりも重要になる」。そうザッカーバーグCEOが記すように、オープンなプラットフォームを運営しようという従来のスタンスから転じて、よりプライバシーを重視するという決意表明である。

(写真=ロイター/アフロ)

 ほぼ時を同じくして、3月3日から6日まで、米ラスベガスでは「ショップトーク」というカンファレンスが開催されていた。「世界最大のリテール&eコマースカンファレンス」と銘打つだけあって、例年、ウォルマートやアマゾン、グーグル、イーベイといった小売りやテック業界の巨人から、AI(人工知能)や自動運転の開発を手がけるスタートアップまで、小売りに関わる多くの企業が集まる。

 フェイスブックも幹部がキーノートに登壇するなど、ショップトークで主役を張る1社だ。昨年はグローバル・マーケティング・ソリューションズのバイスプレジデントがフェイスブックの広告プラットフォームを紹介しつつ、正しい消費者に正しく商品を伝えられると力説していた。今年は今年で、移り気な消費者をどう捉えるか、広告担当の別の幹部がマーケティングの要諦について話した。小売り各社が集まるショップトークでフェイスブックが脚光を浴びるのは、その広告効果の高さゆえ。そのベースにあるのは、ユーザーの個人情報の幅広い共有だ。

 一方でオープンなプラットフォーム運営からプライバシー重視への転向を宣言し、ほぼ同時にもう一方でオープンなプラットフォームであるがゆえの広告効果が評価される場で脚光を浴びる。この二面性が、フェイスブックの苦境を映す。