通販サイト「楽天市場」の送料無料化策や携帯子会社の料金プランなど、楽天が社会の批判にさらされている。2つに共通するのは他者への「負担の押し付け」ではないだろうか。

3月6日、送料無料化策の一律実施の延期を発表した楽天の野原彰人・執行役員コマースカンパニーCOO(最高執行責任者)

 3月6日には、「楽天市場」で同18日に始める予定だった送料無料化策の一律実施を延期し、準備ができた店から始めるとトーンを弱めた。その理由として「新型コロナウイルスまん延による出店者の負担解消」を挙げた。独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用にあたる疑いがあるとして、公正取引委員会が緊急停止命令を東京地裁に申し立てた影響ではなく、あくまでコロナウイルス問題への対策だと強調した。

 EC(電子商取引)の巨人であるアマゾン・ドット・コムは自社で在庫を抱える事業が中心で、無料配送ラインを明確に示すのに対して、楽天は出店者が集う場であるマーケットプレイスが軸であり、製品価格や送料は出店者が自由に決められるため、利用者からは「分かりにくい」との声がある。

 こうした声に対して一律での送料無料化ラインを設定したわけだが、ある楽天出店者は「純粋にすべてを送料込み表示にすればいいのでは?」と不満を漏らす。

 楽天は出店者への理解を得るため、3月6日に「安心サポートプログラムを用意する」と併せて発表した。今回の制度導入によって発生した費用などの差分の一部をサポートするというものだが、計算方法などの詳細は「まだ固まっていない」(楽天広報)という。

 19年の8月から出店者に向けて全国で説明を続けてきた楽天。出店者からは平均購入価格の下落や利益の減少に対する不安の声が寄せられてきた。だが、物流面でのサポートなどは提示していたが、こうした金銭面でのサポートは表明していなかった。これまでの姿勢は競合に勝つための負担を出店者に押し付けたように見える。

 送料無料化ラインを表明する際に、金銭面でのサポート対応を示していれば、出店者や世間の反応は少しは違っていたのではないだろうか。直前になって用意したものの、まだ詳細が煮詰まっていないサポートプランの発表は、後手に回る対応を象徴している。

制限だらけの「アンリミット」プラン

 携帯電話事業子会社である楽天モバイルが3月3日に発表した料金プランにも、「押し付け」を感じる。4月から始めるプラン「Rakuten UN-LIMIT(アンリミット)」は、無制限とは名ばかりの制限ばかりのものだ。

 データ使い放題は楽天基地局のカバーエリアに限られる。23区を中心とする東京などの首都圏、東海、関西地区の一部の都市部のみしかカバーされておらず、ほかの地域ではKDDIの回線を使ったローミングとなる。

 ローミングエリアでの利用は月に2GB(ギガバイト)までで、それを超えると通信速度は毎秒128KB(キロバイト)にまで制限されてしまう。通常の速さを求める場合、ユーザーが1GBにつき500円を支払う必要がある。300万ユーザーまでは1年間、月額利用料を無料とするキャンペーンをはるため、2GB分の1000円は楽天モバイルが負担することになるが、それを超えてローミングエリアで高速通信を使おうとするとユーザーが負担しなければならない仕組みだ。

 携帯事業の本格参入は新規のため、基地局整備などを一から自前で進めなければならない事情は理解できる。ただ、他社との差分を埋めるために、ユーザーが負担をしなければならない構図となってしまったのは残念でならない。

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