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 アパレル大手の三陽商会に株主提案が出ていることが明らかになった。3月28日に開催予定の定時株主総会に向けて株主に発送された招集通知をみると、2018年12月期の期末配当で会社計画の倍の80円を求めていることがわかる。3年連続最終赤字と苦しむ三陽商会に増配提案を出す理由はなにか。

岩田功社長は株主提案をどう受け止めるか(写真:共同通信)

 株主提案を出したのはファンドとみられ、増配と取締役に対する株式報酬導入の2つを提案している。株式報酬については会社側も先月、導入を決めており大きな論点にはならなそう。注目は増配提案だ。

 三陽商会の業績は18年12月期まで3期連続の最終赤字。英高級ブランドのバーバリーとのライセンス販売契約が終了した15年以降、苦しい戦いを強いられている。赤字続きの企業に増配を要求するのは極めて珍しいと言える。

 ファンドが目を付けたのはバランスシート(貸借対照表)だ。損益は厳しいとはいえ、三陽商会のバランスシートはまだ健全。株主提案でも「貴社は18年9月末の連結貸借対照表にて現預金及び投資有価証券の合計額350億円を有し、そこから有利子負債91億円を差し引いた純額も259億円となり、盤石な財務基盤を有しています」と書いている。だが「資本の効率化が望まれる」ことから増配提案に至ったと記している。

 会社側は招集通知の中で増配提案への反対を表明している。厳しい経営環境が続く中、既存事業の強化や新規事業の開発、M&A(合併・買収)などに投資をしていかなければいけないので、資金を機動的に活用できるよう一定の財務基盤の確保が必須、と反論している。三陽商会は6日、「株主提案に反対の理由は招集通知に書いてある通り。総会の場で改めて説明する」とコメントした。

 双方の言い分にそれぞれのロジックは通っており、これをどう考えるかは三陽商会の株主の投票を見守るしかない。「3期連続の赤字で今後も劇的な回復が見込みにくいことを考えると、増配はしにくいだろうと考える株主が多いかもしれない」(市場関係者)が、いずれにしろ答えは3月末に出る。

 ただ、仮に株主提案が通らなくても、会社側は株主総会の場を含め、資金の使い道を戦略的に明確に示していく必要があるだろうし、そうしなければほかの株主の納得も得られまい。そういう意味では、会社にそうした事業戦略を本気で考えさせ、それを知ることができるという意味では株主提案が通らなかったとしても、提案者を含め多くの株主にとって有益な株主総会になるのではないだろうか。

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