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 大塚家具の大塚久美子社長が4日、約1年ぶりの記者会見を開いた。当面の資金繰りにメドをつけた大塚社長は中国市場に打って出て大塚家具の再生を果たすと宣言し、会見中には笑みもこぼれた。確かに中国市場は巨大だ。うまくいけば復活をけん引するだろうが、現段階では机上の計画にとどまる。今度こそ結果を出さないと、後はなくなる。

 「創業50周年になる今年、大塚家具は日本から一歩踏み出す。まずは中国のお客に私たちの商品とサービスを試していただきたい」。4日の記者会見で大塚社長はこう話した。「これからは世界の消費者に商品を提供したい」。景気のいい言葉が次々に飛び出す。

大塚社長はイージーホームやハイラインズと協力して中国市場を開拓する意向だ(4日午後、東京・丸の内の日本外国特派員協会、写真:共同通信)

 確かに中国は「(日本と違って)まだ住宅需要が旺盛」(大塚氏)には違いない。日本市場よりももちろんパイも大きい。

 人口が減り、市場環境が決していいとは言えない日本で苦戦を強いられてきた大塚社長にとって、中国市場はブルーオーシャンに見えているかもしれない。今回は増資を引き受けてくれたハイラインズ(東京・渋谷)が中国でEC販売を手伝ってくれるうえ、業務提携した中国の居然之家(イージーホーム)の約200店舗も販路になる。これまでにない力強い味方が付いたのは間違いない。

 だが、目論見通りに物事が運ぶかどうかは、まだ不透明だ。会見では「中国には正直、世界中のモノがある」と話した。競争が激しいなかでの成功の条件として「日本の珍しい商品や、コンシェルジュサービス」をカギにあげた。

 一方でコンシェルジュサービスは「人を育てなければいけないので時間がかかる」とも話しており、すぐに結果が出るものではないというニュアンスもにじませた。コンシェルジュサービスは、接客手法を巡って決裂した父、勝久氏の得意技でもある。それが中国での成功のカギになるのは少々皮肉だ。

 そもそも「言うのはただ。額面通りには受け取れない」(機関投資家)との声も多い。これまでの大塚氏は結果が伴っていないからだ。2018年12月期までの3年間は、いずれも期初に黒字予想を掲げたものの販売不振がたたり、下方修正を繰り返して、3年連続で最終赤字を計上した。

 「『日本から一歩踏み出す』は普通、日本国内のビジネスに成功した人が次の成長ステップとして言うセリフだろう」。国内のあるファンドマネジャーはこう指摘する。「国内で立ち行かなくなった経営者が海外に目を向けても期待しにくい」という見方はある。

 4日の会見でも大塚社長は日本での苦戦の原因について「家具業界を取り巻く環境が大きく変化した。ビジネスモデルを再構築する必要がある」と分析してみせた。一方で今後の国内市場対策は明確に示さなかった。重要なポイントとしてあげたインターネットと実店舗の融合についても「どちらにどのくらいの経営資源を投入すればいいのか、まだ見極めている最中。試行錯誤をしている」と述べるにとどまった。

 中国市場に期待するのも戦略的とは言い難い。資金繰りに窮して昨夏から本格化させたスポンサー探しでは国内企業からの協力がなかなか得られなかった。その網を海外にまで広げ、ようやく中国企業を見つけた経緯がある。中国市場を戦略的に狙っていたというよりは、ビジネスも手伝ってくれるスポンサーが中国勢になったから、中国で頑張ると言っている面は否めない。大塚家具を退社した元幹部は「戦略が行き当たりばったりで線になっていない」と指摘する。

 巨大な中国市場で受け入れられれば、業績にも大きく寄与するだろう。ただ資金繰りにあえぐ大塚家具が今回、第三者割当増資などで手当てできた資金は最大76億円だ。過去3年の最終赤字額が累計で約150億円、営業キャッシュフローの赤字が130億円強ということを考えると、時間はそれほど残されていない。

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