SUBARUが3月1日に発表した4月1日付役員人事と組織改正で、風土改革を目的に昨年4月に設置した「正しい会社推進部」を廃止する。2017年10月の完成検査不正の発覚を受け、当時の社長だった吉永泰之会長の肝いりでスタートした組織だ。「正しい会社」の旗を掲げながら、不正発覚後も同じ不正を続けていたことが昨秋明らかになっている。目標の実現は道半ばのまま、コンプライアンスを別の組織に委ねることになる。

吉永泰之会長(写真左)はコンプライアンス室担当を外れる。右は中村知美社長(会長社長に就任前の2018年3月、写真:共同通信)

 「風土改革が必要だ。改革は1年でやり切る」。吉永氏は正しい会社推進部の設置に際し、こう話していた。17年10月に無資格者が完成検査をしていた問題が発覚したことを受けた再発防止策の一環だった。17年12月末の時点で不正検査は終結したと説明してきたが、その後も不正は続いており、18年11月には3回目の不正検査のリコール(2月までの約43万台に10万台を追加)を発表した。

 吉永氏は昨年3月、検査不正問題に「けじめをつける」としてCEO(最高経営責任者)職にとどまりながらも社長を辞任する意向を発表した。その後、CEOを続けることへの批判が集まり、同年6月の株主総会で社長とCEOの双方の職から退任し、会長に就いた。

 吉永氏は今回の人事でコンプライアンス室の担当からも外れ、無任所の取締役会長となる。正しい会社推進部の設置に際しては「問題から逃げずに対応することが私なりの責任の取り方」と説明していた。その思いで設置した同部も今年3月で消える。不正発覚後も同じ不正を続けていたのでは、正しい会社という名称は空々しかったかもしれない。

 同部廃止についてSUBARUに問い合わせると、こんな答えが返ってきた。「正しい会社推進部の活動により、組織の下から上へ状況を伝えづらい現状が浮き彫りになった。取り組むべき課題を露呈させたという意味で、一定の成果を上げたと認識している」。不正を続けた原因が、現場と経営層の意思疎通のまずさだと把握する役割は果たしたようだ。

 正しい会社推進部の機能は、早田文昭常務執行役員の下、経営企画本部で継続するという。新型プラットホーム(車台)を採用したインプレッサやフォレスターの評価が高く、本来ならこの時期、意気が上がるはずだったSUBARU。エンジンやパワーステアリングでリコールも頻発し、不祥事のダメージから抜け出す推進力を失っている。真の「正しい会社」になる日はいつだろうか。

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