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(写真:PIXTA)
 

 安倍晋三首相は2月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請する考えを表明した。期間は3月2日から春休みまで。幼稚園や保育所、学童保育は対象から外した。

 安倍首相は「ここ1~2週間が極めて重要」だとして、26日の「イベント自粛」に続いて、異例の要請に踏み切った。しかし、ネット上などでは安倍首相の発表直後から、要請に困惑する声が相次いでいる。

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 「卒業式も中止が発表されたばかりなのに、今度は臨時休校。小学校6年生の娘は突然、今日が最終登校日になってしまった。娘の気持ちを考えるとかわいそうでならない」「来週から本当に働けるのだろうか」「学童は開いてくれそうだが、1カ月以上、毎日お弁当を作らなければならないのは辛すぎる」「3月休んだ分、来年度の夏休みは潰れるのではないだろうか」

 休校要請の直後から、ツイッターやフェイスブックでは子どもを持つ働く親の悲痛な叫びで埋め尽くされた。今や共働き世帯が夫もしくは妻のみが働く世帯を上回るご時世。1カ月以上子どもの学校が休みとなると、対応に困る世帯が多いのもうなずける。

 安倍首相は「民間企業は休みがとりやすくなる環境を整え、子どもを持つ保護者に配慮してほしい」と呼びかけた。「ただでさえ人手不足のご時世に『配慮』だけで休めるとでも思っているのだろうか。『休ませなさい』と言うくらい、強い表現で言ってほしかった」。週3回、子どもが学校に行っている時間にスーパーでパートをしている、小学校2年生の子供を持つ40歳代の主婦は憤りを隠せない。当然、子どもが休みになれば仕事は休まざるを得ないため、収入も減る。生活面も不安だ。

 日本経済新聞が主要企業を対象に実施し、136社から回答を得た緊急調査では、在宅勤務を実施している企業は全体の46%。半分にも満たない。飲食店や物販といったサービス業、医療・介護関係などテレワークできない職種は意外と多い。北海道帯広市の帯広厚生病院では、臨時休校の影響で出勤できなくなる看護師が全体の2割強に上り、外来を休診したケースもある。こうした問題の影響をどれだけ考えて首相は決断したのだろうか。

 東京都文京区のスーパーマーケットの店員は「ここ1週間でテレワークする人が増えたせいか、品物の売れ行きスピードが速い。自宅で過ごす時間が増えた分、消費量が増えているのだろう。学校が休みになったらどうなるか。調達が不安だ」と話す。また、同区でパーソナルトレーニングジムを営む吉田尚弘さんは『来週から子供たちが長期で休むとなると、主婦の方中心に、平日昼間に来られないお客様が出てくるかもしれない』と懸念する。

 臨時休校により、学校という「インフラ」が機能不全になった影響は、広い範囲に波及しそうだ。突然現れた課題を解決するために企業も動き出している。