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(写真:PIXTA)

 新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済を支える主な製品の生産や供給への影響も避けられなくなってきた。米調査会社IDCは2月27日、2020年のスマートフォン世界出荷台数の予測を下方修正した。もともと前年比1.5%増の14億360万台と予測していたが、同2.3%減の13億3980万台に悪化すると発表した。「最大の市場である中国が新型コロナウイルスにより打撃を受け、他の地域も工場閉鎖や物流、部品不足などの影響が出てくる」(IDC)とする。米アップルのiPhone製造において世界最大手である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業では、中国に複数ある工場での生産を再開したものの、従業員が戻らないといった理由でフル稼働まで時間がかかるとの観測が出ている。

 自動車も同じ構図だ。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが26日に発表した20年の世界の自動車販売の予測は、新型コロナウイルスの感染により前年比2.5%減少の8800万台となるとした。従来の同0.9%減からマイナス幅が拡大した。

 特に深刻なのが中国市場だ。中国の自動車販売の減少率は2.9%減と、従来予想の1%増から悪化する。既に英ジャガー・ランドローバーのトップが19日、「コロナウイルスの影響で中国事業の売上高がゼロになった」と明かすなど、足元の影響は深刻だ。欧州や米国の販売も落ち込むなか、日本市場については軽自動車が好調なことから販売が増加するとムーディーズは予測する。

 だが、日産自動車など一部の自動車メーカーの国内工場が中国製部品の調達難から生産の一時停止を余儀なくされるなど、コロナウイルスによる影響は避けられない。もともと消費増税によるダメージも残っており、今後も国内販売は厳しい状態が続く見通しだ。

 サプライチェーンへの影響は中国以外でも広がっている。新型コロナウイルスの感染が広がったイタリアでは、閉鎖された地域にある現地部品メーカーMTAの工場の稼働がストップ。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や仏ルノー、独BMWなど多くの完成車メーカーに部品を供給しており、完成車の生産停止が懸念されている。

 株価下落や企業業績悪化などを受けた消費マインドの冷え込みと、部品調達や物流が障害となっての生産停滞。需給が結びついた停滞がこれからどこまで広がるかが、世界経済全体の懸念材料になる。

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