ふるさと納税で過熱する返礼品競争を受け、総務省が制度の見直しを急いでいる。その1つとして浮上する最も過激な案は、問題がある自治体に関しては「過去の取り組みまでさかのぼって除外対象にする」というものだ。6月からの規制強化を前に、駆け込み的に寄付を集めようと走る一部自治体が念頭にあることは言うまでもない。「100億円還元」を実施中の大阪府泉佐野市の担当者は2月28日、「あってはならないことだ」と強く反発した。
 

(写真:Keiko Hiromi/アフロ)
(写真:Keiko Hiromi/アフロ)

 政府は今の国会に、ふるさと納税の規制強化を盛り込んだ地方税法改正案を提出済み。返礼品については「調達価格が寄付額の3割以下の地場産品」と明記し、この基準を満たす自治体のみを総務相が制度の対象に指定し、指定されなかった自治体に寄付しても減税の特例が受けられない「認可制度」に6月から移行する。

 本来の趣旨から外れた過剰な返礼品競争を抑えようと、総務省はこれまでも自治体に度々自粛を求めてきた。今回、過去の取り組みもさかのぼって自治体を評価し、継続・除外の判断をする仕組みも水面下で検討。総務省にとっても、自治体にとってもまったく前例がない「奥の手」さえ準備する背景には、国の要請に沿って見直した自治体ばかりが割を食うような、「正直者が損をする」事態を避けたい。こんな思いがあるとされる。

関西国際空港の開港に伴う都市基盤整備の過剰投資で財政難に陥った泉佐野市は、ふるさと納税に力を入れてきた(写真:アフロ)
関西国際空港の開港に伴う都市基盤整備の過剰投資で財政難に陥った泉佐野市は、ふるさと納税に力を入れてきた(写真:アフロ)

 かたや「独走」気味の泉佐野市は、特産品がある自治体と協定を結ぶなどして高級和牛やカニなど1000品目にも上る返礼品を用意し、2017年度は全国最多の約135億円の寄付金を集めた。18年度の寄付受け入れ額も360億円に達する見通しで、「100億円還元」の効果もあって、さらなる上振れも見込まれる。仮にふるさと納税の新制度で、過去の取り組み状況が判断基準となり指定を得られない状況になれば、こうした収入が失われる可能性がある。

 泉佐野市の担当者は「地方自治に対する危険な関与だ。現状で違法なことをしているわけではない。法律が成立する前の取り組みを勘案することはあってはならない」と強く反発する。もっとも、多くの自治体は泉佐野市とは距離を置く。ふるさと納税仲介サイト運営のトラストバンク(東京・目黒)が契約自治体を対象に2月実施した調査では、回答した460団体のうち9割以上が「100億円還元」のような金券で寄付を集める行為に、「反対」もしくは「どちらかと言えば反対」と答えた。泉佐野市の孤立感は一層高まっている。

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