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 コンビニやスーパーなどで節分用の恵方巻きが大量に廃棄される問題は今年もなかなか解消できなかった。実は、株式市場の世界にも膨大なロスが存在する。余ってしまった株主優待を捨てるのか、生かすのか。「株主優待ロス」をできる限り少なくしようという動きが広がり始めている。

換金性の高い優待品ならば、金券ショップに持ち込むケースもあるが……(写真:共同通信 )

 3月は上場企業の6割の決算期が集中し、市場では「株主優待の権利取りを意識した買いが増え始める時期」と言われる。もちろん、各種優待品は投資先への愛着を深めるのにも役立つが、「優待品の多くが現物」という難点も併せ持つ。企業や機関投資家にとっては活用が難しく、換金性の高い一部のものを除いて破棄してしまうケースが多い。ある試算によれば、その額は年間30億円分に相当するという。

 こうした背景からロスを極力なくそうという動きがここに来て出始めた。日本証券業協会は今年、証券会社が受け取った不要な株主優待をNPO団体などに寄付する新たな仕組みをつくる予定。会員サイトを立ち上げ、証券会社自らが寄付先を探さずとも、支援を必要とするNPOに物品が行き渡るようにするという。国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)に沿った活動の一環で、関係者は「フードロス、ならぬ株主優待ロスを防ぐ仕組みだ」と話す。

 19年1月に金融機関の関係者や弁護士らが有志で立ち上げた「優活プロジェクト」も同様の取り組みを始めており、企業などからもちこまれた優待品を、公益財団法人の協力を経て、社会貢献団体に幅広く配分。4月からは一般からの優待品持ち込みも募る。

 株主優待は、企業にとっても手間やコストがかかる取り組みで、優待品の調達のみならず、それを株主名簿に記載されている株主すべてに配送する手間やコストを考えると「もっと良い株主還元策があるのでは」との声は根強い。投資家からも「優待を実施する資金を配当に回してほしい」と、実利の要求も強い。

 一連の取り組みの狙いとして、株主優待を「社会貢献」につなげることで、「アンチ優待派」を納得させる効果を期待している面もある。最近ではアサヒグループホールディングスのように、優待品を受け取らない場合、それ相当の資金を寄付できるオプションを優待内容に加える企業も出てきており、優待ロス圧縮の意識と流れは今後加速しそうだ。

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