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提携協議開始を発表するNIPPOの吉川芳和社長(左)と前田道路の今枝良三社長

 敵対的TOBの阻止を狙い、また新たな手に打って出た。

 ゼネコン準大手、前田建設に敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている道路舗装2位の前田道路が2月27日、同首位のNIPPOと資本業務提携の協議を始めると発表した。同日午後、両社社長が都内で記者会見を開き、5%程度の株式持ち合いも検討することを明らかにした。

 提携の目的は、製造拠点を共同で活用し、舗装技術などのノウハウを持ち寄って経営の効率化を図るというもの。だが、その裏に見えるのは、前田建設のTOBに対する前田道路の強烈な拒否反応だ。

 会見のやりとりでも、その思いはあらわになった。「前田建設によるTOBの成否と今回の提携協議は関係するのか」と記者から問われたNIPPOの吉川芳和社長が「TOBとの関係は考えておりません」と答えたのに対し、前田道路の今枝良三社長は「前田建設との関係を解消し、NIPPOと組むという意思表示か」との質問に「(その理解で)結構だ」と応じている。

 そもそも前田道路はNIPPOに続く業界2位。2019年3月期の売上高2237億円、営業利益171億円と安定した経営を続けている。無借金経営で知られ、現金及び現金同等物は連結ベースで850億円超という“優良企業”だ。国内市場の縮小が見込まれる業界だが、現時点では必ずしも提携を急ぐような切迫感のある状況ではない。

 その前田道路に24%強を出資している前田建設は1月、持ち株比率を51%まで高め子会社化することを目的としてTOBを開始した。これに対し前田道路は反対意見を表明、敵対的TOBとなった。

 もともと、インフラなどに投資し、運営や保守で稼ぐコンセッションなどに事業の軸足を動かす前田建設は、道路舗装を手掛ける会社を抱えることは大きな意味があるとしてTOBに動いた。一方の前田道路は、その動きに対しキャッシュリッチな自社を子会社化する“口実”だと疑念を持ち、反発を強めている。

 前田道路はTOBに対抗するためホワイトナイト(白馬の騎士)探しをすすめていたが難航、2月20日には500億円を超える特別配当を実施し、手元資金の多くを流出させるという奇策も発表していた。これまで計画していた配当を含めると今期の配当総額は約615億円。手元資金の7割超を一気に吐き出すという「捨て身の焦土作戦」を表明していた。

 これに対して前田建設は27日午前、TOB期間をこれまでの3月4日までから3月12日までに延長すると発表したが、その日の午後、前田道路がさらなる策を講じた格好だ。

 同社の今枝社長は本誌の取材に対し、今回のTOB拒否について「捨て身の抵抗をしたいと思っている」と語っている。あくまで反対を貫く相手に前田建設はどう反撃するのか。

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