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 施工不良問題に揺れるレオパレス21の臨時株主総会が2月27日、都内で開催された。議題は株主である村上世彰氏が関与するファンドのレノが提案していた取締役1人の選任と、これに対抗する形で会社から提案された社外取締役2人の選任だ。結果は会社提案の可決と株主提案の否決。一見すると会社側の勝利に終わった格好だが、宮尾文也社長以下、現取締役が信任を得たわけではない。レオパレスの綱渡りはまだ続く。

 「会社が再建に向かっているときに、ハゲタカファンドに付け入る隙を与えてどうするのか」――。出席者によれば、臨時株主総会で目立ったのは、レオパレスの賃貸アパートのオーナーたちだったという。こうしたレノ側に否定的な発言が出るたびに会場では拍手がわいたという。

 レノが取締役候補としたのは村上氏側近の大村将裕氏。一方のレオパレスは東洋シヤッター元社長の藤田和育氏とパナソニックホームズ元上席主幹の中村裕氏を社外取締役候補として提案していたが、2時間近い質疑を経たのち、レノ側の提案は否決され、レオパレス側の提案が可決した。

 今回の臨時株主総会は、レノの要求を受けて開かれた。そもそも最初、レノ側は現経営陣が会社の抜本的立て直しに向けて無策すぎるとして、宮尾社長をはじめとする現取締役の総退陣と新たに3人の取締役就任を求めていた。その後、会社側が抜本的改革をすると2月7日に公表したことで矛を収め、大村氏1人の取締役就任を求める株主提案にトーンダウンさせた経緯がある。

 しかし、トーンダウンさせた提案にも会社は徹底抗戦してきた。「大村氏は提案株主の利害の代弁者」でしかない、とリリースなどで攻撃。さらに抜本的な事業戦略再構築を発表したリリースでも、検討プロセスにおいて「株主からの提言、ディスカッションを歓迎する」としながら「ただし、株式会社レノ及びそのグループ(村上氏側のこと)を除く」とレノ、そして村上氏を敵視してきた。

 こうした「恥も外聞もなく、単に村上氏が嫌いという感情論を前面に押し出してきた」(銀行関係者)戦略が、「村上氏らは信用ならない。会社を解体されてはたまらない」(神奈川県小田原市の71歳男性)とアクティビストを嫌う一般株主の支援を得て実を結んだ格好だ。

本当の勝負は6月の定時株主総会

 もっとも、これで会社側が一安心かというと、そうはいかないだろう。今回選任された取締役の任期はあくまでも今年6月の定時株主総会までの暫定。定時株主総会では宮尾社長以下、全取締役の賛否が改めて問われるからだ。会社側は5月をメドに抜本的な事業戦略再構築の検討結果を反映した事業計画を策定、公表すると宣言している。ここで株主を納得させるプランを示せなかった場合、そして業績の改善を示せなかった場合、今日の臨時株主総会で会社側に賛成した株主も6月の定時株主総会では反旗を翻すかもしれない。

 そもそもレノも、今日の臨時株主総会で自らの株主提案が通ったとしても、たいした効果は期待していなかった。レノの取締役候補者だった大村氏は「選任されたとしても取締役として業務的な役割を任されるとは思えない。異物扱いされるのだろう。取締役会に出席して抜本的改革がきちんと進められているのか、それが株主価値の向上につながるのかどうか、意見を言うくらいのことしか、させてもらえない」と考えていたからだ。

 株主提案の否決を受けて大村氏は「残念だけどこれがゴールではない」とコメントした。レノとしても本番は6月の定時株主総会だと考えている。「5月に納得する再生プランが示されればそれでいい。現経営陣に委ねる。でもそこで納得するプランが出てこなかったらまた何らかの手は打つことになるだろう」(大村氏)

 そもそもレノや村上氏が求めていることは企業価値の向上であって現経営陣のクビではない。現経営陣に企業価値の向上が期待できそうになかったから、総退陣を要求したというだけだ。村上氏は常々こう言っている。「私のことが嫌いでも企業価値をきちんと上げてくれるならいいんですよ」。きょうの臨時株主総会はあくまで緒戦。本当の決戦はまだ先だ。

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