民泊仲介大手のエアビーアンドビー(東京・新宿)は26日、2020年に開催される東京五輪を見据えて、日本全国に約800万戸あるとされる空き家を活用した民泊事業を拡大する方針を発表した。

 同社は昨年、JR四国と包括的業務提携を交わし、空き店舗の活用に乗り出していた。JR四国が、徳島県三好市の商店街の空き店舗を改装してオープンした簡易宿所「4S STAY 阿波池田駅前」の集客をエアビーが支援。この施設を使った体験型プログラムなどの開発も手掛けている。今回、同じ遊休不動産である空き家の活用を進めることにした。

エアビーアンドビーはJR四国が空き店舗を改装して開業した簡易宿所「4S STAY 阿波池田駅前」の集客を支援している

 空き家を利用した民泊に参入したい所有者に対し、物件が法律の基準を満たしていることや、利用者が安全で快適に宿泊できる施設であることを、エアビーが確認して提供する。必要に応じて施設の運営を委託できる外部業者を紹介するなどして、家主の参入を促す。

 政府は、18年に3000万人を突破した訪日外国人を20年には4000万人に引き上げる目標を掲げるが、宿泊施設の確保も課題と指摘されている。エアビーアンドビーの米国本社でグローバルポリシー&パブリックアフェアーズ(公共政策)責任者を務めるクリストファー・レヘイン氏は、「空き家を活用することで、遊休不動産の所有者に新たな収入源を提供でき、近隣地区の飲食店や商店などにとっても経済効果をもたらすことができる」として、地域活性化の観点からも空き家活用のメリットが大きいことをアピールした。

 エアビーの日本での事業は、当初の想定通りに拡大しているわけではない。昨年施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)では、営業日を180日以下に抑えることや周辺住民の同意を義務付けたり、消防設備やごみの取り扱いにも厳格な規定を設けたりしている。さらに、多くの自治体が条例で「上乗せ基準」を設けたため、民泊事業への参入をあきらめる個人や法人が続出した。

 エアビーのサイトに掲載する物件数は、昨春は6万件超だったのに対し、新法が施行された6月15日には約2万2000件にまで急減した。宿泊できる物件が減ることは、仲介手数料が主な収入源のエアビーにとっては死活問題だ。

 26日の記者会見で、長田英知執行役員は、様々なマーケティングの施策によって、掲載物件数が4万1000件(2月16日時点)にまで回復したことをアピールした。だが、民泊事業者の急減を補うため同社は昨年後半から、旅館やホテル、簡易宿所などの掲載を大幅に増やしており、「件数の回復に大きく寄与している」(同社公共政策担当の南宮祥子氏)。

 新法による民泊事業の届け出件数は、全国で約1万3000余り。大阪市や東京都大田区などで認められている「特区民泊」などを合わせても、合法な民泊の物件数は3万程度とされる。民泊市場が勢いを取り戻したとは言い難い状況だ。

 民泊の「ホスト」がなかなか増えない中、遊休不動産を何とか活用したい家主はエアビーの援軍となるのか。

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