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(写真:つのだよしお/アフロ)

 「Buy Disaster(災害は買い)」と、相場の格言では言われている。だが、誰も買いに入る勇気が出ない。そんな雰囲気すら感じさせる急落ぶりだった。

 2月24日のダウ工業株30種平均は1031ドルの急落。その余波を受け、3連休明けの日本市場では日経平均株価も一時1000円を超える下げを記録した。これまで、韓国や日本で新型肺炎の感染が拡大しようが「対岸の火事」だった米国市場が、ようやくリスクに向き合い始めている。

 「日本の新型肺炎拡大に関する状況は先週とあまり変わっていない。完全に過剰反応だ」。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは25日の動きを「遅れて出た過剰反応」と表現する。

 だが一方で、新型肺炎問題の長期化という、これまであまり真剣に取り沙汰されていなかったリスクが吟味されようとしている。世界の株式市場はしばらく変動の激しい状態が続きそうだ。

 きっかけはイタリア株式市場の急落だった。イタリアのみならず、欧州市場の株価はこれまで一本調子で上がり続けてきたが、イタリアで新型肺炎の感染者数が200人を超えたことで、高すぎる株価の調整も兼ねた株価下落が起きた。その動きが米国市場に波及し、ダウ平均をはじめとする米国株の急落につながった。

 「ウォール街はイタリア系の人が多いからね。感染者数の増加がそれだけ身近なものになったということですよ」。ニューヨークで勤務経験を持つ、ある証券関係者はこう皮肉る。

 もっとも、米国株の夜間取引の動きを見てみると、早くも反発の動きが出ているそうだ。「今年は大統領選挙が秋に控えているため、米国株が近いうちに大崩れすることはないだろう」。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストも、米国株に関しては思ったほど悲観的にはならないだろうと見ている。

 しかし、日本株はどうだろうか。為替は先週、一時1ドル=112円をつけるなど、円安に振れているが、日本株の値動きは振るわない。2019年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になるなど、日本は景気後退懸念が出始めている。「史上最長の景気拡大局面にある米国景気との格差から発生する円安と考えられている。『悪い円安』ということだ」。楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジストの窪田真之氏は、円安でも株価が上がらない状態は、実体経済の悪化を反映していると話す。1~3月期も新型肺炎の影響でGDPの数字は悪いことが予想されるだけに、日本株は、米国株に比べて上がる材料が少ないと言えよう。

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