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 東京証券取引所が国内株式市場の改革に動き始めた。これまで株式市場の頂点とされてきた「東証1部」を再編し、現在の2100社から数百社程度に絞る構想が立ち上がっている。トヨタ自動車や三菱商事など世界的に知名度が高い企業だけで構成される市場となれば、海外投資家などからの投資も呼びやすい。さながらサッカー・イングランドの「プレミアリーグ」の株式市場版を作る構想だ。

22日、会見する日本取引所グループの清田瞭CEO

 「市場構造をどう変えるかという議論は、東証として相当急いで進めるつもりだ」。22日、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は定例会見で改革に意欲を示した。既に2018年11月から東証改革を議論する有識者会議を設置しており、今春にも一定の方向性を示す計画となっている。

 東証1部市場に上場するための時価総額の基準を引き上げるとともに、一定の有力企業のみで構成する「プレミアグループ」を作り出す可能性が取りだたされている。これまで線引きが不明瞭だった、東証2部とジャスダック、マザーズの3市場を2市場に再編する構想も浮上している。

 現在の東証1部は、時価総額20兆円を超すトヨタ自動車から、時価総額40億円程度の企業までが混在している状況。最近では、東証1部上場で人気アニメ「秘密結社鷹の爪」で知られるコンテンツ制作会社のディー・エル・イー(DLE)が不正会計をしたとして課徴金勧告されるなど、ガバナンス問題が指摘される企業も少なくない。

 外国投資家は東証1部銘柄で構成された東証株価指数(TOPIX)を投資の基準としているケースが多く、玉石混淆の現状では日本株の信用にも影響しかねない。香港や上海、シンガポールなど他のアジア市場との競争が過熱するなか、東証改革は待ったなしの状況だ。

東証改革は待ったなし(写真:アフロ)

 もっとも、2000を超す企業が東証1部に上場していた背景には、市場と企業との間の蜜月関係があった。企業は「東証1部上場」というブランドをより早く手に入れたい。一方、証券取引所や証券会社側も、多くの企業が新興市場から東証1部への階段を駆け上がる成長ストーリーを見せることで、新規上場(IPO)を目指す企業を増やし、投資家の関心も集められる。東証1部への上場審査は次第に緩くなり、今では国内上場企業の6割が東証1部という状況となっている。

 東証改革を牽引する清田CEOは、大和証券グループ本社会長を務めた人物。株価指数の再定義など、技術的にも難題が待ち構えるが、業界のしがらみを断ち切り、優良企業だけで構成された「新生東証1部」を実現することができるか。「日本版プレミアリーグ」構想の成否は、日本の株式市場の将来をも左右することになりそうだ。

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