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 新興国のサムライ債(円建て外債)の発行が相次いでいる。米国が利上げモードに入った昨年以降、投資マネーが引き揚げられた影響もあり、新興国の資金需要は強まっている。金融情報サービスのアイ・エヌ情報センターによれば、サムライ債の2018年の発行額は2兆3242億円と、リーマンショック後、最大だった2014年の2兆5377億円に次ぐ水準だった。円建ての中では利回りが高いことから、国内機関投資家は好んでサムライ債を購入する傾向がある。リスクの高い新興国債にマネーが流れる傾向は危うさもはらむ。

マレーシアは30年ぶりにサムライ債を発行する(左は2018年11月に来日したマハティール首相、右は安倍晋三首相、ロイター/アフロ)

 2月8日、都内のホテルでマレーシア政府がサムライ債発行に関する会見を開いた。リム・グアンエン財務相が直々にセールスを行う力の入れようだ。マレーシア政府がサムライ債を発行するのは1989年以来、30年ぶり。国際協力銀行の保証を付け、期間10年、利率0.65%未満の条件で2000億円を発行する。

 アジアでは昨年、インドネシア政府やフィリピン政府も5月と8月にサムライ債を発行している。旺盛なインフラ需要をまかなう資金を、運用資金が潤沢な日本のマネーに求める動きが活発化しているとみられる。アジア勢以外でも、昨年はハンガリーが10年ぶりにサムライ債を起債した。

 米国の長期金利が上昇基調となる中、超低金利が続く日本での起債は発行体にとっては有利だ。一方、日本の機関投資家にとっても一定の利回りが期待できる投資先となる。

 もっとも、新興国が発行体となる債券にはカントリーリスクが付きまとう。前出のマレーシア政府のサムライ債のように国際協力銀行の保証を付ける形のものも一部あるが、一般的に格付けは低めのものが多い。少しでも高い利回りを求める国内機関投資家の動きは、金融危機など世界経済変調の影響を受けやすくなるだけに、大きな損失を被るリスクもそれだけ高くなる。長期間続く金融緩和の影響はこんな形でも表れている。

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