
2月18日、ドイツの自動車メーカー、オペルオートモビルが日本市場への参入を発表した。2021年後半にコンパクトカー「コルサ」、SUV(多目的スポーツ車)「グランドランドX」、ステーションワゴン「コンボ ライフ」の3車種を導入する予定だ。
2006年に撤退して以来、15年ぶりに日本に再上陸する。ミヒャエル・ローシェラーCEO(最高経営責任者)は「(撤退で)お客様を失望させてしまった。約束する、今回は撤退することはない」と力を込めた。
1862年創立のオペルは小型車を主力とするドイツメーカーで、販売比率が95%を超える欧州が主戦場だ。長らく米ゼネラル・モーターズ(GM)の傘下だったが、2017年に仏グループPSAに買収された。
ローシェラーCEOは「GMの時代は米国思考で欧州のエレメントを学べなかったが、今はそれが可能になった」と話す。PSAグループ内でプラットフォームの共通化などを進め、18年だけで前年比27%のコストカットを実現。18年12月期には約20年ぶりに黒字に転換した。
体質改善が順調に進み、次に狙うのは欧州以外の市場獲得だ。22年までに20カ国に参入する計画を進めており、日本再上陸もその一環。19年にはロシアへの再進出を果たし、20年夏までにコロンビアやエクアドルなどへの進出を予定する。
日本では、1990年代のピーク時に年間3万8000台を販売したが、その後は低迷。親会社だったGMの販売戦略も関係し、06年に撤退していた。
欧州市場では「オペル、フォード、フォルクスワーゲンの間をユーザーが行き来するイメージ」(ローシェラーCEO)だという。グループPSAジャパンのアンジェロ・シモーネ社長はオペルの強みについて「Typical German Brand(典型的なドイツブランドであること)」と話し、日本の輸入車市場におけるドイツ車人気を好機の一つにみている。
ただ、足元ではドイツ勢は苦戦している。日本自動車輸入組合のブランド別輸入車新規登録台数によると、「メルセデスベンツ」「BMW」共に2年連続で販売台数を減少させたほか、オペルがベンチマークの一つとして挙げる「フォルクスワーゲン」も19年の販売台数は前年比9.9%減。一方、「ボルボ」や「ジープ」などユニークなブランドの好調さが目立ち、PSAグループの「プジョー」も5年連続で販売台数を伸ばしている。
「新しい製品だからこそ、女性やミレニアル世代などに乗ってほしい」(PSAジャパンのシモーネ社長)と期待するが、「ドイツブランド」以外の武器がなければ市場への浸透は難しい。ニッチ市場を開拓する個性が求められる。

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