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 「物言う株主」の村上世彰氏率いる投資会社と東芝機械の攻防がヤマ場を迎えている。敵対的TOB(株式公開買い付け)を実施中の村上氏側に対し、東芝機械は3月27日に買収防衛策発動を巡る意思確認のための臨時株主総会を開催することを決め、村上氏側は総会前までだったTOB期間を、総会後まで延長した。こうした変更は株主の損得勘定を大きく変えるので注意が必要だ。そして今、株式市場ではトヨタ自動車や東芝といった東芝機械の大株主が買収防衛策に賛成するのか、反対するのかが注目点として浮上している。

東芝機械は2月4日に中期経営計画を発表。飯村幸生会長兼CEO(最高経営責任者)は株主還元を手厚くする方針を表明した。

 村上氏系の投資会社で東芝機械にTOBを実施中のシティインデックスイレブンスは2月18日、東芝機械の求めに応じる形でTOB期間をこれまでの3月4日までから4月16日までに変更した。TOBの終了が臨時株主総会の前から後に変わることになる。これで東芝機械の株主にとっては選択肢が広がった。

 臨時株主総会で議決権を投じることができる株主は基準日が2月15日だったため、既に確定している。TOB期間が従来通り3月4日までの場合、TOBに応じると配当基準日の3月31日には株を持っていないため、TOB価格で株を売ってプレミアム(上乗せ)の恩恵を得るか、それとも配当の恩恵を受け取るか、どちらかの選択肢しかなかった。TOBが4月まで延長されたことで、株主は配当権利を確保した後にTOBに応じるといういわば「二重取り」も可能になった。既存株主にとっては明らかに朗報だろう。

TOB期間の延長で、東芝機械の株主は配当権利を確保した後にTOBに応じることが可能になった

 村上氏側はTOB期間を延長したことで、配当の恩恵は受けられなくなった。これまでのスケジュールだとTOBが成立した場合、持ち株が増えてから配当基準日を迎えるため、TOB後の増えた持ち株分の配当を得られたが、今回の延長でTOB前の既存の持ち株分しか配当をもらえないからだ。

 ただし、村上氏側は損失だけを被るわけではなさそうだ。仮にTOBに応じるか配当をもらいにいくか迷っていた株主がいた場合、これまでは「配当を選ぶ=TOBに応じない」ということだった。しかし今回の期間延長でそうした株主からのTOB応募も見込めることになるからだ。