日産自動車は2月18日、横浜市内で臨時株主総会を開催し、内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)、アシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)ら4人を新たな取締役に選任した。西川広人・元社長兼CEO、山内康裕・前COOらが退任し、元会長カルロス・ゴーン氏の事件に対応したメンバーは一新したが、経営不振で株価が落ち込む会社に対し、株主の怒りが爆発した。

 「期末無配。株価も500円を切った。それをどう考えているのか。『頑張ります』ばかりでは駄目だ」。新たな船出となるはずの臨時総会の会場は、株主の怒号であふれた。

 怒りの根源は大きく3つに集約される。
 まず、最も大きいのは業績の落ち込みだ。米国や国内での新車販売が振るわず、2019年10~12月期は同期間として11年ぶりとなる最終赤字に転落した。20年3月期の通期業績も下方修正し、年間配当は10円と前期の57円から大幅な減額となる。

 次に不安定な経営体制について。19年12月に発足した新体制で、経営再建と商品戦略の取りまとめ役を期待した関潤氏が1カ月足らずで離脱した。「生え抜きのエース」が日本電産社長に転身したことに、会場からは「経営陣の意思疎通が貧弱なのではないか」といった声が上がった。会社の先行きにさらなる不安が高まっているのだ。

 最後に、レバノンに逃亡したゴーン被告への対応。日産は不正行為の規模が350億円を超えるとするゴーン氏に対し、100億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。しかし、国外にいるゴーン氏から取り戻せる道筋は見えていない。ある株主は「レバノンからゴーンを連れて帰るために、15億円の懸賞金をかけてはどうか」と提案した。

 「トヨタ自動車と比べて、製品以上に、経営の品質に差がある」
 「(顔と名前が一致せず)誰が誰か分からないから、名札を付けておけ」

 泣きっ面にハチ状態だが、開始から2時間を超える中、変わってきたことがある。初めて議長役を務めた内田氏が落ち着き払って真摯に対応する姿勢を示したことで、援護射撃する雰囲気も湧いてきた。議事運営が不適切だとして議長解任を求める動議もあったが、冷静に対応して乗り切った。

 内田氏は株主を見据えて、こう宣言した。「(次の定時株主総会までに)経営に改善が見えなければ、すぐに私をクビにしてください。執行の責任者である社長が日産の再生を目に見える形で示していく。今はいろんなことが起こっているが、いい会社と言ってもらえるようにまい進します」

 日産は5月をメドに新たな経営計画を公表する予定。その先の6月の定時株主総会では、日産との経営統合を模索していた筆頭株主の仏ルノーも発言権を行使するとみられる。取締役への就任と同時に「辞任届」を懐に用意し、覚悟を決めた内田氏。激変する自動車業界の大海原で、株主、ルノーという「身内」とともにいかにうまく船を操るか。問われるのは結果だ。

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