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 大阪府泉佐野市が打ち出した、ふるさと納税の寄付者にアマゾンのギフト券を配る「100億円還元」に対し、自治体の間で反発が強まっている。ふるさと納税の返礼品をめぐっては、これまで総務省と自治体、都市部の自治体と地方の自治体といった対立構図が目立っていた。ここに来て、地方の自治体同士の反目が鮮明になっている。

返礼品に加えてアマゾンのギフト券を配る泉佐野市のホームページにアクセスが集中した

 「あれでうちの税収も奪われるのは許しがたい」。ふるさと納税サイト運営のトラストバンクが13日に都内で開いた勉強会で、青森県三戸町の担当者が憤った。「アマゾン100億円還元」に対して「本来の行政がやるべきことでない」などと反発する声が相次いだ。

 自分の選んだ自治体に寄付をすると、自己負担の2000円を超えた金額が上限付きで、所得税や住民税から控除されるふるさと納税は、2008年度にスタート。当初から高級和牛やカニといった、各自治体が寄付者に用意する豪華な返礼品で話題を集めていた。

 制度は15年度に爆発的に広まった。納税先が5自治体以内であれば、確定申告をしなくても控除が受けられる「ワンストップ特例制度」の導入がきっかけだ。全国の寄付総額は前年度の388億円から1652億円にまで急増した。

 返礼品競争も過熱し、地元に関係のない高級食材や家電製品、商品券などで寄付を集める自治体が増え、カタログギフトショッピングの様相に。地方の振興に資する寄付税制という本来の趣旨からは大きく逸脱していく。

 当初は特産品に乏しい都市部の自治体に不満が募っていた。住民が地方にふるさと納税をすれば、自らの税収を奪われるのと同じだからだ。東京都世田谷区など都市部の自治体を中心に行き過ぎた返礼品競争に懸念の声が上がっていた。

 その後、返礼品の充実に力を入れる自治体と、カタログギフトショッピングのようになった事態を重く見る総務省との対立が激しくなった。大臣名で返礼品の自粛を度々要請。調達費用を寄付額の3割以内に抑えることや、高額だったり換金性が高かったりするものなどを送らないよう求めてきた。

 昨年末に決着した19年度税制改正では、ふるさと納税に初めて“規制”が導入されることになった。今年6月以降は、制度の趣旨に基づいたルールを守らない自治体は制度の対象外になる。泉佐野市の「100億円還元」は、閉店キャンペーンとうたっているように、まさに規制強化直前の駆け込みを狙ったもの。なりふりを構わない手法に反発は強まっており、地方対地方という新たな構図で軋轢を生んでいる。

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