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 内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価の影響を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算で1.4%増となった。年率2.6%減だった7~9月期から反転、自然災害に伴う消費の落ち込みが解消した形だ。もちろん回復力の鈍さ、世界経済全体の危うさなど不安要素は尽きない。だが統計上、プラス成長に転じたことは、安倍晋三政権にとって「3度目の消費増税延期」という選択を一層とりにくくなったことを意味する。

安倍首相は「消費税を十二分に還元する」と強調する(共同通信)

 消費税10%への判断では、安倍首相はこれまで14年11月、16年6月に2度延期している。ただ判断の時期は、当初の増税の予定時期よりも10カ月以上前。今回の場合、19年10月が実施時期なので、「期限」はもうすでに過ぎた。その意味では、18年10~12月のGDP統計は増税を判断するうえでの日本経済の「最後の体力測定」とも言える。3月に改定値が出るが、プラス・マイナスの符号まで変わるとの見方は少ない。大和総研の神田慶司シニアエコノミストは「今回の発表をもって、増税にブレーキを踏むことはできないはずだ」と指摘、そのうえで「増税すごろくはいよいよゴール寸前だ」と続ける。

 「頂いた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じる」。安倍首相もこう強調するように、政権は増税ショックの緩和に血眼になっている。幼児教育・保育の無償化に加え、軽減税率、キャッシュレス決済で買い物した人へのポイント還元まで対策に盛り、その額は2兆円を軽く超える。ここまで対策で大盤振る舞いすると、後には引けない。仮に増税を延期した時、では積み上げた一連の対策もすごろくの「振り出し」に戻すことができるだろうか。理屈のうえでは手段はないわけではない。財源を増税から赤字国債に振り替えるという案だが、それこそ政権が批判を浴びる可能性が高く、もはや対策の名を借りたバラマキ政策以外の何物でもなくなる。

 世の中に景気・経済の減速を伴わない増税はないと言われる。今回は史上初めての秋の消費増税。駆け込み需要と増税後の反動減がともに19年度中にすっぽりとおさまり、年度全体を通してみると、なんだか奇妙に安定成長をしているような錯覚に陥る可能性もある。なぜ消費が増えたのか、単なる駆け込みか。なぜ持ちこたえたのか、それは政府の還元策のおかげなのか。統計不信が叫ばれる今だからこそ、原因と結果を丁寧に分析する作業が必要な1年になる。

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