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19年4~12月期決算を発表した日産の内田誠CEO(写真:Bloomberg /Getty Images)

 日産自動車が2月13日に発表した2019年10~12月期の最終損益は260億円の赤字(前年同期は704億円の黒字)となり、20年3月期通期の連結業績も下方修正した。第3四半期の赤字は08年以来11年ぶり。決算発表を受けて、14日の同社株価の終値は前日比54円80銭(9.6%)安の513円70銭となり、およそ10年ぶりの低水準に沈んだ。株式時価総額は販売台数で5分の1のSUBARU(スバル)にも抜かれ、国内自動車で5位に転落した。

 「想定以下の収益」──。ゴールドマン・サックス証券のアナリスト、湯沢康太氏は13日夜に出したリポートにこう記した。「米国販売の質を改善する施策は我慢強く続けられているが、新モデル攻勢に転じる来下期まで販売を押し上げることは難しい」。投資判断は「今年5月の中期経営計画発表まで静観する」としているが、向こう一年は期待薄、ということだ。

 日産が発表した19年4~12月期の連結決算は、営業利益が83%減の543億円、純利益が88%減の393億円。販売が低迷しており、売上高を13%減の7兆5073億円と減らしたことが響いた。販売台数の通期見通しは505万台と前回予想から19万台下振れした。20年3月期の配当は10円と19年3月期の5分の1以下となり、筆頭株主である仏ルノーの業績も押し下げる。

 「立て直しに向けて固定費の削減などはしっかり進んでいる。方向性はぶれていない」。19年12月の就任以来初の決算会見に臨んだ内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)はそう強調した。とはいえ、「従来は19年を底に、20年から成長を図る絵を説明してきたが、もう少し時間がかかるというのが現状だ」と述べ、出口の見えない状況に厳しい顔を浮かべた。

 足かせとなっているのは北米だ。カルロス・ゴーン会長、西川広人社長の時代、日産は市場シェアの獲得を目指し、販売店への販売促進費用を奮発した。ただ、北米での売れ筋がSUV(多目的スポーツ車)へと変化する中、新車を出さずに数だけを追う販売戦略は限界に達し、結局はブランドイメージの没落だけが残った。

 この状況をてこ入れすべく、現体制は奨励金の抑制に踏み出している。ただ、米国では比較的新しい中古車が多く出回り、新車の販売環境は厳しくなっている。金融緩和の影響でローンの審査基準も緩んでおり、市場全体が割引の積み増しに動いている。ブランド力のない日産が引き締めては、販売にブレーキがかかるのは当然だろう。

 日産にとって頭が痛いのは、米国だけでない。19年4~12月期の国内販売は前年同期比7%減の38万台、欧州は16%減の40万台。いずれも市場の減速を上回る販売減だ。唯一、状況がましだった中国ではコロナウイルスによる新型肺炎の影響が拡大。中国の工場は操業停止が続き、部品調達に支障が出て九州工場も一時生産を停止した。これらの影響は今後、さらなる業績の悪化要因として表面化する。

 新体制の発足時に社内を統括する役割を期待した関潤・副COO(最高執行責任者)がわずか1カ月で退社し、日本電産社長に転身。株主総会が近づくにつれ、仏ルノーの動きも活発化するとみられる。業績改善について、内田社長は「まだまだ時間がかかる状況」と話すが、泥沼は深まっている感すらある。

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