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 東芝は2月14日、子会社の東芝ITサービス(TSC、川崎市)など複数のIT(情報技術)企業が関与した架空取引についての調査結果を公表した。契約当事者になっていたが、TSCの主体的な関与は認められなかったと説明。再発防止策を進めるとした。東芝は東証1部復帰を目指す考えに変更がないことを強調したが、幕引きを急いでいる印象もぬぐえない。

架空取引について謝罪する東芝経営陣

 「TSCが契約当事者になっていたとの判断に至った。一方で特定の取引先の営業担当者が主導していたと考えられ、TSCの主体的な関与は認められなかった」。東芝は2月14日、TSCなど複数のIT企業が関与した架空取引についての調査結果を公表。記者会見した内部管理体制推進部担当の豊原正恭執行役専務は謝罪後、こう説明した。

 今回の架空取引では、複数の会社間で取引を連続させて製品や資金を回し、実態のない売上高や利益を計上する「循環取引」が行われていた。東芝は社名を伏せたものの、IT大手のネットワンシステムズの元従業員が主導したことが明らかになっている。別の企業が受注した中央省庁のIT機器の案件で、商品を納入したかのように装っていた。

 東芝では、2019年12月4日から20年2月5日の期間で調査を実施。森・濱田松本法律事務所や太陽グラントソントン・アドバイザーズなどの外部調査メンバーも関わり、私用の携帯電話を含めたデジタル・フォレンジック調査などが行われたという。

今回の循環取引のスキームの説明資料

 その結果、15年から19年までの24の案件で取引に実在性がなく、エンドユーザーが伴わない循環取引だったとの判断に至ったとした。2月14日に発表した19年4~12月期の連結決算では、架空取引に関連するTSCを傘下に持つデジタルソリューション部門の売上高215億円を取り消した。

 子会社が循環取引の契約当事者になっていたことを受け、東芝は再発防止策も明らかにした。デジタルソリューション部門ではサービス提供など「付加価値を伴わない自社製品以外の直送取引を行わないようにする」と豊原専務。社内審査会議の充実や業務の属人化を防ぐための人材のローテーションなども進めていくという。東芝グループ全体でも内部管理体制のさらなる強化や不正リスク評価、調査のあり方の検討を進めていくとした。

 東芝では東証1部復帰を目指した準備を進めている。今回の架空取引の影響について、豊原専務は「影響があるかどうか我々がコメントする立場ではない。準備が整い次第申請したい」と手続きを進めていく考えを示した。

 米原子力事業の巨額減損で債務超過に陥り、17年8月に東証2部に降格となった東芝。損失を隠すために不正会計を繰り返すなどガバナンス(企業統治)が課題となっていた。「主体的な関与なし」とした今回の循環取引だが、東証1部復帰に向けてより透明性を高めていく必要があるのは言うまでもない。

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